2人の脳梗塞治療 スピードが命 その4

2015年07月18日 18:18

吉村医師は、脳梗塞であると確信していた。
突然発症で、未治療の不整脈、心房細動がある。
不整脈が原因となる心原性脳塞栓症だろう。
詰まった血管は、症状から察するに
左中大脳動脈の中枢の太いM1と言われる動脈本幹だろう。
非常に広範囲の重症脳梗塞が予想され、致命的になりうる。
脳出血の可能性がないわけではないが
脳出血の場合はもっと予後が不良だ。
女性が回復できる可能性があるとすれば、
脳梗塞の血栓で詰まった血管を
1分でも1秒でも早く再開通させること。
血栓溶解療法(rt-PA)、あるいは血栓除去術。
それにかけるしかない。

救急車の外には、中の様子を窺う後藤整備長の不安そうな顔が見えた。
海霧が迫っていた。
すぐに現場を離脱しなければならない。
吉村医師は宣言する。
「じゃ、すぐに搬出してヘリに。市民病院へ搬送!」
フライトドクターが持つドコモの白い携帯電話で、
ダイレクトブルーに短縮ダイアルを押した。
直ぐに先方は出た。
「もしもし、ダイレクトブルーです」
おそらく貫和亮太医師の声。
「ドクターヘリ吉村です。新郷に・・・ます。・・歳で、・・・麻痺が」
吉村医師の携帯電話のアンテナが時々1本になる。
(続く)


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