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岩手県北へ その7

2015年06月27日 18:41

着陸すると、先に左前ドアを外側に開けて降りた樫山整備長が
ドクターヘリのフロントを越えて、右へ移る。
機長席の1m後方のナースシート側の
スライドドアのロックを外す。
軽量を意識して作られたドアノブをやさしく、
けれど素早く右回転させた。
そしてドアを後方にスライドさせた。
ヘリコプターの室内には、
開いたドアから双発エンジン音が飛び込んだ。
天井のメインローターの回転数はいくらか落ちてはいたが、
まだ、4枚羽は視認はできないくらい、
高回転だった。
スライドドアから降りる吉村医師と和島ナースの姿を
バックミラーで機長は追っていた。
ドクターヘリから降りた二人は一直線に側方に離れる。
腰をかがめて、透明色に回転するメインローターの回転半径を越えてから
背筋を伸ばす。
ドクターヘリの右手30m先に
白い救急車、赤い指揮車とポンプ車がいた。
3台は全てドアを閉めていた。
ドクターヘリのダウンウオッシュが車内に入らないように。
まだ砂埃が少し舞う中を
吉村医師は黒い超音波バッグを背負い、赤い外傷バッグを右手に持つ。
和島看護師は青い救急バックを右手に、すぐ使うと思われる輸液と針などが入った小さな袋を左手に持ち、黒いウエストポーチを腹部に巻いていた、
それぞれ小走りに救急車へ向かった。

救急車の後ろドアが開くと、振り返ったのは
玉のような汗をかいた救急救命士だった。
「すいません。静脈路が確保できません!」
いいんだよ、
それだけショックだということだよ。
それより、いい決断だ。
ドクターヘリ要請。
と吉村医師は思ったが、
口には出さなかった。

私ならならさらっと言うのだろうけど。

患者は重症のショックだった。
心停止が切迫したショックであることを認知した救急救命士は
静脈路確保を試みたが、その虚脱した血管は
駆血しても浮き出てこなかった。
(続く)


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