岩手県北へ その2

2015年06月21日 23:36

右手から血がたくさん流れていた。
ドアは変形して開かない。
フロントガラスが割れて、小さなかけらが車内と車外に散乱していた。

血まみれの手は、自由が利かない。
高エネルギーが腕にかかると、
しびれで指が動かなくなる。
そのせいもある。
シートベルトを外すことすらできなかった。
右手の出血は続いた。
痛みが腕だけでない、
腰の下の方も強かった。
徐々に遠くなる意識の中で、
呼びかける人の声も遠くなっていく。
ダンプの運転手だろうか?
通行人か?
遠くから救急車のサイレンが聞こえてきたのは
かろうじてわかった。

交通事故では、
意識がなくなる原因として
頭部。脳損傷。
出血による血圧低下で脳貧血。
骨折や腹痛が強くて、迷走神経反射。
等が挙げられる。

到着した岩手県の救急隊長は、
フロント部分が潰れて半分くらいに小さくなった軽トラックを見て
その車の壊れ方、現場の空気から直感した。
まずい。これは、重症だ。
隊員にも緊張感が走る。
車をのぞき込み、頸椎を保護しながら話しかける
「わかりますか、救急隊です」
「おう。大丈夫だ」
目をつむっていた血まみれの男性に呼びかけると、
力なく声が帰ってきた。
救急隊長は、すこし安心した。
引き続き、状態を観察する。
ハンドルの破損はなかったが、ダッシュボードが潰れて押し出され
下半身と右下肢がしっかりと挟まれていた。
下肢が変形していることは明らかだった。
右手からはかなり出血がある。
すでに血痕が車内のシートに広がっていた。
その血は盛り上がり固まっていた。
(続く)


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://doctorheli.blog97.fc2.com/tb.php/2095-91705323
    この記事へのトラックバック