結婚式前の父親 その4

2015年05月23日 18:27

私の声に合わせるように、
前方に停車していた救急車のピーポーサイレンが鳴る。
ドクターカーのフロントガラスに映る救急車の影は小さくなった。
ドクターカードライバーはカーナビを見て、
「先生、ここから10分くらいですよ」
そう言いながら、アクセルを踏んだ。
ドクターカーは細い道に入る。
ピーポーサイレンをこだまして。

五戸救急隊は、ショック状態の男性に酸素投与をおこない、
心電図波形に中止しながらドクターカーとのドッキング地点を目指す。

ドクターカーの携帯電話が鳴った。
「血圧85、脈拍40、ショック状態。胸痛冷や汗は持続しています」
救急隊長の声
ドクターカーの前方に赤色灯が小さく見えた。
ドクターカーは右にウィンカーを上げて、道路わきの空き地に入った。
そして停車。

私は、救急車に乗り移る。
男性の表情は険しかった。
胸の痛みが続いているという。
とりあえず、意識はいい。
すぐに心電図12誘導をとる。
隊長には、画像伝送装置を立ち上げるように、伝えた。
心電図12誘導の波形は、
動画で八戸ERへ送られる。
ST上昇があった。
右側心筋梗塞を考えた。
右側心筋梗塞でショックなら輸液負荷だ。

男性はER入室まで、ショックは続いたが、
最悪の心停止は防げた。
8時25分
循環器医師が待機したERに入室した。
そのわずか20分後に、心臓カテーテル室に移動した。
心臓の冠動脈は完全に詰っていた。
午前9時心臓カテーテル治療が成功した。
胸痛発症から心臓カテーテル治療成功までわずか90分である。
(続く)


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