雲の上 中編

2015年05月06日 18:06

11時19分六ヶ所村第2中学校グラウンド着陸。
芝のいいグラウンドだ。
散水はいらない。
救急車がヘリコプターの前方に停車していた。
私舘は、救急車に乗り込んだ。
「意識はJCS20に改善しました。」救急救命士の声
「接触時JCS300、いまは20ですね」私
「はい。共同偏視は最初からです。」救命士

「CTでは、所見なしです。梗塞と思いました」小林医師
小林医師は、六ヶ所村の診療所に、僻地医療の研修に来ている若い医師。
静岡の伊東市民病院からの派遣だ。

六ヶ所村のオブチ診療所の松岡所長は、僻地医療の専門家。
若い医師への教え上手で、全国的に有名だ。
だから、若い医師が集まる。
若い医師は僻地を敬遠しているわけではない。
教育がある僻地には自ら希望して出向く。
僻地での医師不足は、医学教育が手薄だからだ。

僻地の医師が教育を開始すれば、若い医師を獲得できる。

ということで
私は少しだけ教育に参加する

「発症時間は?血糖値は」私
「9時30分ころです。血糖160です」小林医師
「それじゃ、TPAのリミット4時間半のぎりぎりだ。
できるかも知れない。後1時間ちょっとある」
「血圧上肢左右差は?」私
「えっ、しまった。計っていません」小林医師は悔しそうだ
「それじゃ、心嚢液を超音波で見て、
上肢血圧左右差がないことを確認して、
ヘリ搬入だ。
搬送先は八戸!」
意識障害患者に血圧左右差を測る理由を彼は思い出したはず。
そう、大動脈解離で頸動脈にひびが入ると、
脳梗塞症状が出る。
大動脈解離では、上肢血圧左右差が出ることがある。

11時32分離陸。六ヶ所村滞在時間はわずか13分。

地上では、小林医師が見送ってくれた。

教育のある僻地医療。
ドクターヘリで応援を受ける僻地医療。

もはや僻地医療は嫌われ者ではない。
(続く)


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