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トラクターに巻き込まれた子供 その2

2015年03月28日 18:06

運がいい。二次病院の当直医は外科医だった。
電話で、状態を聞いた外科医師は、
自分では手に負えないと判断した。
病院玄関で待ち構えて、到着した救急車内に乗り込んだ。
第一印象で間違いなく重症と判断し、すぐに救命救急センターへの転送を決意した。
患者は救急車から降ろされることなく、
医師同乗で60分後方の救命救急センターへ向かった。
救急隊と外科医は力を合わせて
治療を開始した。
輸液をするために針を刺すが、
子供で血管が細いうえに、
ショックで血管が縮んでいる。
さらに体温が下がり、到底一発で成功するとは外科医は思わなかった。

揺れる車内で針を刺す。
機関員[運転手]は速度を緩める。
何度か針を刺してようやく輸液が開始された。
出血性ショックに対する、命をつなげる輸液だった。
隊長は、意識のない子供にバッグバルブマスクを続けた。

大きな川を越えると八戸市に入る。
それまでの、水田やリンゴ畑の風景とはちがい
建物が多くなる。
隊長は少し安心した。
輸液も入り、もうすぐ救命救急センターだ。
だが、相変わらず、
橈骨動脈の拍動は触れない。
泣かない。
酸素化も悪い。
病院に着くまで心臓が止まらないことを祈る。

暗くなった頃、
救急車は八戸ERに到着した。

バックボードに固定されたままで、
ER2ベッドに移動する。
心電図モニターがつけられ、
明るい照明が当てられた。

入室時の第一印象は呼吸速い、橈骨動脈微弱、
四肢、頸部、胸部より外出血多い、
意識呼びかけで開眼あり。
少なくても、現場より状況は改善していた。
隊長の判断はよかった。
二次病院の対応もよかった。

呼吸を診る。
わたしは、バッグバルブマスク換気の停止をお願いする。
胸の上りを診る。
呼吸音は弱い。
血圧は測定不能。
再びバッグバルブマスク呼吸を始める。
気管挿管準備は完了していた。

右上腕は不全切断、
頸部、胸部、上腕、臀部から大出血状態
119番覚知から75分で八戸ERに到着。

体温低下していた。
(続く)


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