岩手県北へ日没前29分の出動 その3

2015年02月11日 18:15

女性は顔色が真っ白だった。
呼吸は早く、手首で脈拍は弱い、早い。
声は出たが、ぐったりしていて目をつむっていた。
救急隊長は脊髄損傷疑いと説明する。
酸素マスクにつながるビニールの袋はその中に100%酸素を入れて膨らんでいた。
酸素流量は10Lでそのままを継続した。
針を右腕と左腕に刺して、点滴を2ルートで開始した。
血圧測定では44/22mmHg,
脈拍81、呼吸数30.
「ショックだ」

出血源を調べるために、超音波検査を行う。
異常ない。
出血源検索のために、骨盤の診察をする。
下肢の長さが違った。
骨盤骨折を疑う所見だ。
骨盤が骨折すると骨盤が曲がる。
そうすると、左右の下肢の長さに違いが出ることが多い。

外傷で血圧低下する原因の90%は出血だが、
残りはその他にある。
例えば頸髄損傷。
首、胸、腰の背骨には脊髄神経が中心を通過する。
首の脊髄を頸髄と言う。
頸髄がケガをすることを、頸髄損傷。
頸髄神経は、呼吸筋を動かす。
手足を動かす。
鎖骨から下の皮膚を感じる。
頸髄損傷では、呼吸困難、手足麻痺が起こる。
頸髄損傷は、鎖骨から下の感覚がない、
手足の筋肉が弱い、
で気づかれる。
頸髄損傷では、全身の血管が緩むので
血圧が低下する。

女性の下肢に感覚はない。
下肢の力がない。
腕は弱く曲がるくらい。
腕の感覚はしびれると言う。
呼吸はできたが、頸髄損傷を疑う。
血圧が低いぞ。

外傷の血圧低下ショックでは、90%が出血を一番に考える。
だから、頸髄損傷の血圧低下だけではなく、
出血性ショックの同時合併も考える。
出血源は骨盤骨折に違いない。
(続く)


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