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お父さんの具合が悪い、助けて その8

2015年02月01日 18:39

離陸に絡む時間は1分くらいだろうか。
窓の外に、先ほどまで一緒にCPRをしていた救急隊が見えた。
冬で枯れた茶色の芝が遠く離れて行く。
私は機体が水平になるのを待った。
風を正面に受け離陸したので、旋回することなく高度は上がった。
「整備長、後ろはベルトを外します」私
「はい、わかりました」整備長

離陸前のように、私は頭側から男性の胸に覆いかぶさり、
胸骨圧迫を開始する。
回数は100回。深くを心がける。
胸骨圧迫しながら室内通話でナースに話かける。
「頸動脈を触って、必要だったら、アドレナリンを入れて。終わったらCPRを交代して」
和島ナースはテキパキと仕事をこなす。
ナースがCPRを起こった瞬間に私は、無線機のスイッチを踏んだ。
「八戸ドクターヘリ1より八戸市民病院どうぞ、
現在PEA.CPR中。瞳孔5mmです。
ERでPCPSよろしく」
「はい、了解しました」河野医師の声だ。
「PCPSはアンギオ室で行います。
直接アンギオ室へ搬入します」
「アンギオ室直接の件了解」私
「ヘリポートドアに、自動胸骨圧迫器オートパルスを準備します」河野医師
「オートパルスの件了解、こちらCPRにへばっています。助かります」私
私は、無線で話しながら外の景色を見た。
ドクターシートの左後ろから見える風景に、工場地帯の煙突が見えた。
八戸市内上空だ。
あと、2分で着陸だろう。
最後のCPR1クールはナースが座りながらシートベルトを締めて行ってもらう。
その直前まで私が行う。
私は、シートベルトの肩ベルトを外した。
腰ベルトのみにした。
そして、男性の両脇に私の手を入れた、引っ張り寄せた。
男性は、30cm位私に近づいた。
男性の胸に私の顔が近づく。
そして、CPRを行う。
高度が下がる。
病院近くを教える黄色い幼稚園のドームが見えた。
「和島さん、最後のCPRお願い。
着陸すれば私がやるから」
わたしは、先ほどはすした肩ベルトに頭をくぐらせ、
定位置にシートベルをきっちり固定した。
「後ろ、シートベルトOKです」私
「はい、着陸します」機長
新井田川の白鳥は上空を通過する同じく白いドクターヘリに驚かなくなった。
川面に静かに浮いている。
エンジン音を少し低くして、EC135はヘリポートに斜めに近付いた。
最初に左スキッド、次に右スキッドが着地した。
15時12分八戸市立市民病院着陸。
心臓停止から22分だった。
(続く)


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