スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

お父さんの具合が悪い、助けて その4

2015年01月28日 18:35

私は時計を見た。
心停止時間は14時50分だった。

患者接触時に予定できた処置や判断ですむなら、
いつも通り15分以内でできる。
何を救急車内で行い、何をヘリコプター内で、何を飛行中に、何をERで、と予定できる。
だが、想定外なことが起きると、そこからまた10分かかる。
今回もそうだった。
CPRと言う、慣れた手技であっても、
現場でやるべきこと、考えることは山積み。
収容病院の変更。
今ここで気管挿管か、ヘリ内で気管挿管かの判断。
CPRで、できれば心拍再開させて、
ヘリに収容したいという最大効果を狙う欲求。
もしかしたら、あと2分CPRすれば心拍再開するのではないかという、
過小評価。
これから起こる心室細動に対して、
ヘリ内のAEDを付ける優先順位はどの後か、どの先か。
八戸ERに電話を入れるタイミングはいつか、
この状況で、電話に出る余裕はあるのか。
など、など。

坂上隊長から、隊員に胸骨圧迫担当が交代した。
このチャンスだ。私は坂上隊長に呼吸補助バッグバルブを交代してもらった。
そして、気管挿管チューブ7mmを受け取った。
頸動脈が触れない心停止だから、指で開口し、喉頭鏡を差し込み、
気管挿管する手はずだった。
気管挿管手技はこれまで何百人にも指導してきた。
気管挿管困難状態にも自信ある。
同世代は、老眼で声門が見えつらくなり、気管挿管できなくなっていても、
私は、まだまだ見える。
心電図波形は胸骨圧迫に合わせて、100回のリズムで流れていた。
頸動脈は触れない。
先ほどまで右共同偏視していたのが、
今は、眼球は真ん中にある。
瞳孔サイズはちょうどいい3mm。
気管挿管して人工呼吸器につなげば、
ヘリコプター内でCPRする時、人手を省ける。
ヘリ内には、ナースと私の2名のみだ。
私は、親指と人先指で男性の両あごをこじ開けた。
こじ開けるのは容易なはずだった。
(続く)


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://doctorheli.blog97.fc2.com/tb.php/1962-8d87397f
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。