お父さんの具合が悪い、助けて その3

2015年01月27日 18:34

心臓を止めないように病院へ運ぶ。
気管挿管すると、陽圧呼吸になる。
それは、心臓に負担がかかる。
この場合、気管挿管は待った方がいい。
気管挿管と同時に心臓停止するかもしれない。
酸素濃度を上げて、昇圧もしてだ。

「ヘリコプターに患者を入れます。
収容は、●●病院、そこで心臓カテーテル治療をする」
と宣言した瞬間に、男性の目が右に寄った。
右共同偏視だ。
脳血流の低下を意味する。
呼吸は顎でする下顎呼吸。
胸鎖乳突筋を使う奇異呼吸状態。
悪化だ。
「気管挿管するよ」この状態では間もなく心停止だ。
酸素化をよくしたい。
顔色は土色だ。

頸動脈を触った。
脈が触れない!
「坂上隊長、心停止だ、CPRを」
坂上隊長は、私の言葉を最後まで聞く前に、
胸骨圧迫を始めた。
ベッドはわずかに頭側が拳上するファーラー位だったが、
水平にする。
ここまで悪化すると、気管挿管だ。
心電図波形は、除脈波形でPEAだ。
「整備長に伝えて、収容先変更、八戸ER,PCPSつける」
私は機関員に向かって言ったつもりだった。
「了解」声の方を見ると、
整備長が救急車助手席から後ろ向きに座り、
後部の救急スペースで奮闘中の我々を眺めていたのだった。
いつも、現場処置時間が10分前後で、
最初の5分で収容病院を宣言しているのに、
今日は、収容先が決まらなかったことで心配して顔を出していたのだった。
(続く)


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