男性胸痛3名 その3

2015年01月23日 18:10

「エンジンスタートいいですか」
機長が前の席から声をかけてくれた。
「はい、いいですよ、今、シートベルトを締めます」私
騒音が大きくなる前に、
携帯電話を取り出す。
ダイレクトブルーPHSを呼び出す。
今日は藤田医師が持っている。
「持続する胸痛、40歳代男性、首、腹も痛い。
大動脈痛か、胃出血、心筋梗塞を考える。
八戸ERに運びます」私
「はい、待ってます」藤田医師

離陸準備が始まる。
セルモーターでエンジンが始動する。
2秒後に、振動と騒音が大きくなる。
振動は3秒ほどブルブル揺れると、以後
細かい振動に変わる。
メインローターの回転が速くなると、
更に振動は小さくなる。
逆に、騒音はドンドン大きくなる。
「これ、マイクとヘッドホーンです」わたしは、
男性の両耳にあてがった。
「まだ、胸痛いですか?」質問する
苦悶顔貌で「痛い」と
「和島さん、痛みどめのレペタン0.1mg静注して」
ナースは、5秒後には注射を終えた。
「今度は、鼻から、胃管を入れるよ」
鼻から、胃に管を進めることで、胃の出血の25%がわかる。
今回の、鑑別診断の上位に胃出血が残っている。
胃管の吸引からは血は出なかった。
胃出血の可能性は低い。
残りは、大動脈解離だ。
痛みが広範囲にわたるし、首の後ろが痛いという。
大動脈解離であれば、降圧が必要だ。
もう一度血圧を測ると、104/72だった。
レペタンで痛みが落ち着き、高血圧も戻ったのだろう。
13時13分北風に押されたEC135は
9分で八戸市立市民病院ヘリポートに着陸した。
迎えに来たのは河野医師と、高橋研修医、
学生小野[筑波大4年]君。
八戸ERで12誘導心電図検査と血圧左右差、
ガス分析検査を行った。
ガス分析検査で貧血なし。
胸部レントゲン検査を省略して、大動脈検査に向かう。
高橋司研修医と、伊藤慧研修医がCT室へ運んだ。
(続く)


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