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ヒーロー高柳 最終

2015年01月18日 18:35

「心臓動きましたよ」
高柳は短く娘に伝えた。
娘がそれに答えた。
が、その単語は、高柳は聞き取れなかった。
同時に、窓の外から
ウーウーサイレンが聞こえた。
「赤車だ、PA連携だ」
高柳は、自分の耳を女性の口元に近づけた。
2cm位まで近づけた。
呼吸の確認をする。
音がする。呼吸の音がする。
胸が上がっていた。
大きく上がっていた。
高柳の頬に温かい気流が感じられた。

女性は、心肺停止の間の、低酸素状態による、血性酸性[アシドーシス]を治そうと、
自ら、呼吸を大きくしていた。
胸が大きく上がる女性を見て高柳は額の汗をぬぐった。

ポンプ車から消防隊員が下りて玄関に入ったのだろう。
男の声が聞こえた。
高柳は振り返って、
彼らとアイコンタクトを取った。

消防服の男たちにとGパン姿の高柳の間に
女性が横たわる。
酸素投与、
AEDパッドを貼る。

女性は足を突っ張るしぐさをした。
これは除能硬直だ。
全くは脳がなく動かないよりはましだが、
意識障害が強いことを表す。
窒息心停止の影響だ。

1分後に、救急隊のピーポーサイレンが聞こえた。
今度は、グレー服の救急隊が到着した。
現場のマンパワーは十分だ。
黄色のスクープに女性を乗せて、救急車に乗せる。

モニターを付け、酸素飽和度を測定した時、
開けられれた救急車のハッチから、
救急車とは違う音色のピーポーサイレンが近づいた。
八戸ドクターカー、ラブフォーだ。
救急車の後ろに5mで停止した。
ドクターカーの屋根につけられた薄いLEDストロボの
強い赤い色で規則正しく瞬くフラッシュは、
すっかり暗くなった周囲を赤く染めた。
・・・・・・
女性を乗せた救急車は八戸ERに向かう。
・・・・・
3週間後、女性はほぼ元通りに回復した。
そしてリハビリ病院へ転院した。
・・・・・
「当たり前のことをしただけです」
高柳救急救命士の瞳が輝いて見えた。



中学、高校生の諸君、
救急の仕事はどうだい。
消防で仕事はどうだい。

ヒーロー高柳 完


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