ヒーロー高柳 その1

2015年01月16日 18:31

高柳救急救命士は、その時間自宅にいた。
消防署に勤務していることは、
近所ではだれもが知っている。
背筋がのび、胸板が厚く、
手足が長い。
本人の弁では、外見がよいと。
だから、近所のひとは、
彼が消防署の救急救命士であることを知っていた。

事件は雪が降る日の事だった。
50歳代女性が自宅で餅を食べた。
食べ方が悪かったのか、
理由はわからないが、
女性は急に苦しがり、
声が出せない。
見る見るうちに、顔色は黒くなる。
そして床に倒れた。
娘は119通報をした。
八戸消防は、直近の消防署からポンプ車を1台出した。
そして本部から救急車を1台現場へ向けた。
ドクターカーの出動要請がかかった。
同時に、3名の救急司令課の人間がそれぞれに電話する。

娘は家を出た。
隣りの家に走った。
隣りに、消防署員が住んでいる。
「非番でいればいいな」
期待を込めて、玄関で叫んだ。
運がいい。
救急救命士の高柳は非番だった。
あわてて、うまく説明ができない娘であったが、
母親が大変な状態になっていることは伝わった。
「助けてください。
すぐに、来てください」
高柳はGパン姿。
靴を履いて走った。
おそらく、女性が危機的状況になっている。
最悪は、心肺停止だろう。
だけど、心肺停止だと、
一次救命処置しかできない。
胸骨圧迫するだけ。
救急セットはない。
丸腰だ。

女性の家に入った。
靴は玄関に脱ぎ捨てる。
そして見たものは、
倒れている女性。
顔色は黒い。
家族は体をゆするだけだった。
(続く)


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