重複要請3件 その2

2015年01月13日 18:16

その1時間後。
無線が激しくやり取りされていた。
全てをCSは傍受している。
○○港で、水難事故。
「要請が来るかもしれない」
CSはすぐに、着陸ポイントを選定した。
まだ、出動要請が来る前だ。
電話が3台並んだ、一番左の「ホットライン」と
黄色いステッカーが貼られらた電話が鳴った。
無線傍受の3分後だった。
「男性1名。水難。・・・・・・」
八戸ドクターヘリは離陸した。
今日は、OJTシートが空席。
代わりに、自動心臓マッサージ器を乗せる。
ドクターヘリは8分で○○港岸壁に着陸した。
メインローターが回っているが、
降りて、6mを腰を低くして遠ざかる。
それから、走る。
患者接触する。
CPRが行われていた。
心肺停止だ。
救急救命士は気管挿管を行う直前だった。
そのまま、救急救命士に気管挿管をお願いする。
レスキュー隊がCPRをする。
私と、加藤看護師は右腕に、血管確保した。
一発でうまく行った。
アドレナリンを注射する。
救急救命士は気管挿管を成功させた。
青いケースに入った自動心臓マッサージ器を
整備長が担いで持って来てくれた。

体は冷たい。
体温は25度くらいか。
濡れた着衣を切り、脱がす。
自動心臓マッサージ器を付けた。
1分間に100回の正しいリズムで機械が患者の胸を押す。
ヘリコプターに収容した。
残念だが波形は心静止だ。
心静止は救命の可能性がゼロに近い。
ただし低体温症は例外。
今は、低体温症だ。
過去に、太平洋上で発見された低体温症に
PCPSを付けて
歩いて退院した男がいた。
彼も心静止だった。
町田裕美医師が奮闘した患者だった。
http://doctorheli.blog97.fc2.com/blog-entry-1782.html
思い出す。

血管確保した時採血した血糖値は50と低い。
飛行中に、50%ブドウ糖を40ml注射した。

8分後に、八戸市立市民病院ヘリポートに着陸した。
吉村医師が迎えに来ている。
心電図波形を確認した。
すると心室細動VFだ。
「どうしますか、PCPS回しますか」
吉村医師は、心静止ならあきらめるが、
心室細動ならあきらめない。
私は、現場で思ったことを口にした。
「ふつうなら適応なし、
しかし、以前も、太平洋に浮いていた男性をPCPSで歩いて退院させたことがある」
「じゃ、やってみますか」
「そうだ」
男性は、ERでPCPS治療が開始された。
直腸温25度。
血液温24度。
重症低体温症だ。
可能性を信じて。
あの時のように。
(続く)




・・・・・
今年もよろしくお願いします
劇的救命DSCF3989 (500x302)
八戸 劇的救命 救命救急センター


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