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山頂の心筋梗塞患者を救え その5

2015年01月04日 11:33

EC135にジャストサイズの着陸地だった。
大きな機体だと、着陸は無理だろう。
現場着陸を想定して設計された、
救急専用EC135の利点は、
小さな機体。
トヨタエスティマにシッポをくっつけたくらいの機体サイズだ。

良く踏まれていた雪原だった。
メインローターが停止した後も、
機体は雪に沈みことはなかった。
雪が柔らかく深いと、
メインローターが停止し、浮力がなくなった時点で、
自重で機体が沈むことがある。
スキッドには、スノーシューを付けて、
雪に沈まない工夫はしているが。

右後ろドアを防寒服に身を包んだ整備長が開けてくれた。
メインローターのサイズの6mまでは、頭を低くして進む。
それを越えれば、立ち上がる。
足元は、半長靴[はんちょうか]をはいている。
踏まれている場所を越えると、積雪は50cm近くだろうか。
ぬかるむ。
転ばないように、救急バッグを持って私は登山者たちの方向に進んだ。

男性は寒さに震えていた。
山頂は風が強い。
男性は動いていないので、体が冷え切っていた。
「1時間くらい続いた胸痛ですが、今は弱まっています」男性
「冷や汗はどうです。顎の痛みはありますか」私は心筋梗塞らしさを裏付ける質問をした。
「はい」
心筋梗塞らしい。
ニトログリセンリンスプレーを男性の口にふき掛けた。
救急隊員は黄色いスクープを雪の上においた。
左右二つに割れるバックボードのような物。
背中の部分に隙間がある。
左右から患者の背中に差し込み、
すくいあげる。
患者の乗ったスクープストレッチャーを使っての患者をヘリコプターまで移動させる。
持ち上げる我々に腕力がいる。
スクープストレッチャーを持って雪原を歩くと、
一人で歩くのより、雪に埋まる。
足元がとられる。
ヘリコプター備え付けストレッチャーの車輪は雪のために使えない。
ヘリコプターまで距離は20mしかないが、
私は、徒歩移動を男性に勧めた。
歩く前にもう一度脈拍を診る。
大丈夫だ、心筋梗塞で起こる不整脈は今はない。
男性はゆっくりドクターヘリに進んだ。
雪の上を歩く。
男性のはいていた冬山登山靴のほうが、
私が履いている半長靴より、
この場面では安定していた。
整備長は、近づく我々に手のひらを向けて停止させた。
メインローターのサイズの6m以内に近づく時、
長い物は、極力入れない。
使用しなかった長さ2mのスクープストレッチャーを
6mの外に置いて来るようにと言うサインだった。

EC135の右後部ドアから男性を室内に誘導した。
男性は、2本のスキッドに自分の足をかけて、
室内に入る。
私は、左後部ドアを開けて逆から室内に入り、
男性を誘導した。
男性はゆっくりとストレッチャーに移動した。
そして、男性はヘリコプターのストレッチャーに寝た。
黒い患者固定ベルトをロックする。
酸素マスクで酸素を開始する。

ナースは12誘導心電図の電極を胸に貼った。
登山用の厚着をしていたので、容易ではなかった。
機長は「エンジンスタートいいですか」後ろの我々に聞いてきた。
私は「はいどうぞ」と言いながら
自分のシートベルトを締める。
右腰ポケットにいれてある携帯電話を取り出す。
そしてダイレクトブルーを呼び出した。
DSCF6163 (500x333)

(続く)



・・・・・・
今年もよろしくお願いします。
劇的救命DSCF9788 (500x281)
                              [別事案]
八戸 劇的救命 救命救急センター


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