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20km地点のCPAにPCPS その5

2014年12月13日 18:39

ルーカスの胸骨圧迫の質はよかった。
しっかりと、胸が沈んでいた。
5cm以上は沈んでいた。
胸骨圧迫さえ、完全なら次に移っていい。
不完全な時焦って次の手段に行かない方がいい。
次の手段とは気管挿管のこと。
ルーカスは連続胸骨圧迫をしっかり行っていた。
それを見届けてから気管挿管する。
もし、胸骨圧迫が不十分なら、気管挿管に固執せず、
必死に胸骨圧迫する。

「次は気管挿管するよ」
隊長と目があった。
「吸引器準備して、
頭に下に枕を入れて」
口で周りに指示を出しながら、
私は、気管チューブを袋から取り出した。
チューブの先5cmに透明な空気袋がついている。
気管の中で膨らまして、
食道からの胃液や、口の中の唾液が
気管に入らないように蓋をするための風船だ。
人工呼吸で肺に空気や酸素を入れる約一回400mlをもれなく入れるために
気管とチューブを密着させるパッキンだ。
空気袋が破れていないことを注射器で空気を送って確認した。
空気袋に滑りをよくするゼリーを塗る。
さらにチューブの内腔に滑るゼリーを薄く塗った心棒を入れる。
チューブの形を緩やかなカーブ型に作っておく。
チューブを固定する器具を用意する。
そして聴診器を首に下げる。
気管挿管後にチューブの位置確認するために、
胃に人工呼吸がされていないことを確認する。
両側の肺の呼吸音を聴く。
医師は病院前では聴診器を首に下げていることが多いが、
現場出動では、首からかけた聴診器が、周囲の物に引っかかることがある。
危ない。
だから、走る時や、ドアを入る時、狭いところを通過する時、
人をかき分けて進入する時は、
聴診器はポケットにしまっている。

「さあ、行くよ。ルーカスのリズムは連続モードに変えるよ」
バッグマスクのCPRは胸骨圧迫30回、人工呼吸2回。
気管挿管すると、連続胸骨圧迫に変える。
胸骨圧迫で揺れる患者の口にわたしは右指を入れた。
右人先指と親指で指パッチンの形を作る。
患者の奥歯をこじ開ける。
口が大きく開いた。
銀色の喉頭鏡をゆっくりと挿入する。
この時だけは、ゆっくりと。
乱暴に入れると、喉から血が出るから。
ぽっかりと空いた声門が見えた。
あとは、チューブを声門に進めるだけだ。
空気袋が全部声門を通過するのをみとどける。
「声門通過」チューブが声門を通過していることを全員に聞こえるように宣言する。
大きな声で。

これで、気管挿管合併症の食道挿管の危険はかなりないはず。
眼で見て確認しているから。
チューブの位置を確認する。
胸の上りよし。胃のごぼごぼ音はない。
左右の呼吸の音はよし。
最期に2日目の胃の音を確認する。
胃のごぼごぼ音はしない。
胃のごぼごぼ音がする時は、食道挿管の印だ。
(続く)


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