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中越地震から10年その8「心肺停止」

2014年11月09日 18:27

中越地震から10年 シリーズ
続きます。

10年前の中越地震。
激震の川口町にわれわれは出動していた。
空路で着いた翌日。
6時に目が覚めた。
事務の宮武さんはすでに寝袋をたたんでいた。
隣の看護師神田さんはまだ寝ている。
まだ大丈夫さ。朝食は7時ころのはず。
まだ寝よう。昨夜は、当直明けと、長旅の影響で
午後9時過ぎには寝てしまった。

夜中に地震が3回くらいあり目が覚めたが、揺れは長くは続かなかった。
同じ回数で、神田さんの寝返りがあった。
勤務中に常日頃患者様の体位交換をしているせいか、
こういう場でも的確に体位交換している。
6時半には、昨夜到着した静岡県医療チーム、
昨日朝到着した埼玉県心の医療チーム、
その向こうの国立国際医療センターチームが身支度を終えていた。
漁師町の八戸にしては朝の開始が出遅れてしまった。
朝ごはんは、八戸から持ってきたカロリーメイトチョコレート味とウイダーインゼリー。
外のトイレは水洗で衛生的だった。
しかし寒いのが問題です。
つい我慢してしまう。

7時30分。救急車の音がした。こちらへ向かってくる。
昨夜からの夜間当番は国立国際医療センターの二番隊である。
新参者が一番元気なので、その日の当直をするのがルールだ。
昨夜は、八戸、静岡、国立国際医療センター二番隊の中から
国立国際医療センターが立候補した。
救急車の中には老人に対してCPRが行われていた。
救急医チームは、救急隊から引継ぎ、末広荘の会議室へ患者を運び込んだ。
朝の出動前で、医療スタッフはあふれていた。
83歳女性、気管挿管後、蘇生に成功した。
中越地震32

「生食100ml持ってきているチームはありますか?イノバンを使いたいんです。」「500mlならあります。」
「三方活栓貸してください。」
チーム間で物が有効利用される。
国立病院や,自治体病院の役目として,災害時の医療資源は,
無償で提供しなければ、先進国ではない。

ひょっとしたら、この小さな山奥の町は、
平時に比べて救急についてはグレードアップしているかもしれない。
救急専門医が、2人いる。」
患者は長岡赤十字病院へ運ばれた。

 発災そろそろ一週間だ。
高齢者は屋外生活ですでに体も心もマイっている。
エコノミークラス症候群も数人出ている。
寒さを避けるために、
一晩中車のシートに座っているために、
下肢に血栓ができてしまう。
中越地震33

中越地震16

それが肺に飛ぶと、胸痛、呼吸困難となる。
下肢静脈血栓,肺塞栓症だ。
避難所では慣れない集団生活のためのストレスが著しい。
医療チームと心のケアチームの必要性は大きい。

そろそろ朝のミーティングだ。
八戸隊は今日、西川口地区に出動する。
名前は、西川口。
以前勤務していた埼玉県川口市立医療センター時代、
川口市の西川口にはよく食事に行った。
名前が一緒だが、
まるで雰囲気は違う。
中越地震17


中越地震から10年その8「心肺停止」


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