トラクター事故 その5

2014年06月13日 18:01

止まった救急車にわれわれは乗り込んだ。
オレンジ色のバックボードに固定された男性は、
早い呼吸をしていた。
隊長はバッグバルブマスクで人工呼吸していた。
私は、すぐに、右橈骨動脈を触れた。
脈拍なし、冷や汗あり。
患者の声をかけた。
「痛いですか」
「はい」弱い声が聞こえた。
意識はいい。気道もいい。
「フレイルチェストをみますよ。」
救急隊が行っていた、
胸部フレイル固定のタオルとテープを外した。
左胸部が紫色に変色、陥没。
左胸部が吸気にへこむ。
モニターを見た。


酸素飽和度は90%。
血圧測定不能。
脈拍90.
隊長のみ込み通りに重症だ。
「濱舘先生、予定通りに挿管して、
こちらは、血管確保する。
入ったら、すぐにプロポフォールをまず、
2ml注射する。
鎮静が効くまで、バッグマスクで人工呼吸だ」私
頭に、濱舘医師。
その横に隊長。
胸の右にナース。
腹の右に私。
狭い救急車の室内、
患者は左壁にへばりつく形で寝かされている。
患者の右側のみが50cm位空いている。
そこに、一列に並んだ我々。
(続く)


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