2歳出血性ショック その9

2014年04月11日 18:45

メスを腹膜手前で止める。
耳で脈拍が速くなったのを聞いた。
アドレナリンが女児の心臓に届いたのだ。
私は手を動かす。
カンシをもって腹部の正中に突き刺す。
そして開く。
開腹だ。
黒い血が吹き出た。
左の示指、中指を腹部に入れて、
その間をハサミで一気に切る。
急いで切る。
なぜ急ぐか?
それは心停止を防ぐために、
大動脈閉鎖するため。
血の海の中に私は右手を入れた。
「血圧30です。」吉村医師の声が上ずっていた。
直接動脈に入れたカテーテルがここで威力を出す。
とっくに、腕の脈拍は触れなくなっているはず。
マンシェットと言う、腕に巻く締め付ける帯、
これでは血圧測定できないはず。
わたしは冷静だった。
このパターンは良くある。
この子供のパターンは以前もあった。
想定内だ。
(続く)



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