ボタンの掛け違い その5

2013年12月12日 18:13

私が患者を手術台に固定している間に、
野田頭副所長は、
青いガウン姿で茶色いイソジンを腹部に塗っていた。
私は、靴に防水足袋を履き、
次に手袋をはめた。
それから青いガウンを着る。
つまり手洗いは省略だ。
ABCDE&double I
気道呼吸循環が危うい場合に、
感染infectionと
虚血ischemia管理は後回しだ。
double Iは後回し。
だから、消毒薬を手と腕に塗る手洗いは省略。
手袋を2枚重ねてメスを握る。

齋藤医師が左胸に彼女の親指大の太さのドレーン入れた。
丸橋医師が大動脈遮断バルーンカテーテルを操作する。
野田頭副所長が、メスを走らせた。
腹が開くと、たまりかねたように、
赤い血が腹から吹き出た。
「血圧さがるよ 」私
「輸血ガンバています」吉村医師
「はい、大動脈を遮断します」丸橋医師
タオルを腹部の4箇所につめる。
圧迫止血だ。
出血ポイントは大体決まっている。
右の肝臓、左の脾臓、両側傍結腸溝だ。
そこにタオルを入れる。
「キャッチアップします」吉村医師が言う
圧迫で一次止血している隙に、
輸血を行い、バイタルサインを持ち上げるのだ。
持ち上がってから、止血手術を再開する。
持ち上がるまでは、
手術を進めない。
交通事故では。
ナイフのケガなら違う。
一気に出血部に
鉗子を進める努力をする。

右肝動脈がちぎれていた。
そこを見つける。
そして縫合止血する。
出血量が3Lを越える。
山内大生研修医が
「AB型血液追加どうしますか」
「追加で10単位を」吉村医師
血圧が下がる。
大動脈遮断しているのに。
(続く)


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