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ノーブレーキ事故 その12

2013年07月21日 18:42

青い紙ドレープを女性にかける。
「タイムアウト」野田頭副所長が宣言した。
スタッフがいっせいに手を休め注目する。
「腹腔内出血、ショック、止血術を始めます」

時刻は15時30分だった。
ER入室から65分。

野田頭副所長がメスを走らせた。
「大動脈閉鎖バルーンを膨らまして、
大動脈完全閉鎖」私
頭側にすえられていたモニターに写る赤い血圧値は、
80から一気に160に跳ね上がった。

腹膜を開くと、腹部の出血があふれ出た。
「出血量1.5Lだね」私は開腹した瞬間に
たまっている腹部出血量を当てる訓練をしている。
術中の目視と、バイタルサイン、術前のエコーで総合的に推測する。

血の塊は手のひらですくって外へ出す。
マニュアルスクープと言う。
吉岡医師は、腹部の一番低い位置にある、
骨盤の底に吸引管を入れた。
赤いまだ温かい血液がぐんぐん吸引された。

「肝円索を切ろう」私の声で野田頭副所長はペアンカンシを持つ。
肝円索を切ってから腹部の観察をしないと、
肝臓損傷が裂けて収拾できなくなるから。

「肝臓ひどいですね。パッキングしますよ」野田頭副所長
肝臓の右外側にタオルを2枚入れた。
肝臓の左側にタオルを1枚入れた。
脾臓の裏にタオルを1枚入れた。
右の腹壁の溝にタオルを1枚入れた。
左も1枚。
その間、骨盤底にたまった血液を吸引する。
大動脈は風船で閉鎖されているせいで、
肝臓からの出血は止まっている。
(続く)


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