中学校に出動アナフィラキシー 最終

2013年06月21日 18:08

私は、中学生の手首を持った。
脈拍を感じるために。
冷や汗はない。
脈は強かったが、速い。
同時に話しかけた。
発声を見る。
声が出れば、アナフィラキシーショックの死因の第一位の窒息はない。
「大丈夫です」
かすれ声もない。
かすれ声があれば、声門は腫れていることを示す。
窒息に準じた処置が必要になることが多い。
続いて、モニターを見た。
血圧と、脈拍数が映っていた。
どちらも110だった。
ぱっと見て、直ぐ蕁麻疹が出ているのがわかった。
蕁麻疹+気道呼吸循環腹痛のどれかがあれば
アナフィラキシーを考える。
今回は、頭痛と言う症状だけある。
よく聞くと、頭がボーっとするという。
循環不全の症状と考えた。
「予定通り、アドレナリン0.3mg筋注するよ。
長谷川先生は呼吸数を数えてちょうだい。
重症度がわかる。」私
アドレナリン0.3mgを右太ももに、注射した。

「これで5分見るよ。
その間に静脈路を確保して、長谷川先生!」私

「隊長、救急車をドクターヘリに近づけて下さい」
長谷川研修医は、黄色のゴムのクケツタイを左腕に巻いた。
浮き上がった血管に留置針を刺した。
「血糖も見てね」私
加藤ナースは血糖測定器械をオンにした。
「124、正常です」
5分経過した。
まだ、頭痛は取れない。痒みは楽になった。
2回目のアドレナリン03mg筋注は5分後だった。
「搬送ヘリですね」
後ろのハッチを開けると、整備長がこちらに話しかけてきた。
「はい、収容は八戸救命」私
患者をヘリコプターに収容した。
14時14分離陸。
高度300m。
中学生は落ち着きを取り戻していた。
頭痛も半減している。
酸素投与している透明緑マスクに、呼吸の湯気は大きくついた。
「呼吸数20回」長谷川研修医の声
14時18分八戸市立市民病院救命救急センター到着。
エンジン音が低くなった隙に
聴診器を患者の胸に当てた。
「ラ音はしません」長谷川研修医
八戸ERに入室した少年はゆったり顔に戻っていた。
約30分後、
病院に母親が現れた。
(完)


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