ダンシングハート その3

2013年06月03日 18:08

吉岡医師は
「気管ソウカンは今すぐには必要ない。
酸素飽和度が測定不能は
酸素不足ではなく、
血管が縮んで酸素を末梢組織に運べないせいだろう。
輸液で循環を持ち上げる。
血圧を上げるのが先」

隊長に出発を進言した。

八戸ドクターカーの現場処置時間は平均3分。

揺れる車内でゴムを女性の腕に巻き、注射針を刺す。
しかし、
血管が浮き出ない。
両腕無理。
それだけ、ショックが重症ということだ。

救急車内の照明は十分だ。
針を刺せないのは
医師の腕が悪いわけではなく、
照明が暗いわけではなく、
揺れるからではなく、
患者の状態が悪すぎるのだ。

冷や汗と、頻脈を「クールタキ」と呼ぶ。
冷えた、頻脈と言う意味。
私がよくショックの講義で使う言葉。
いつも「クールタキ」で冗談を言う。
読者のなかで、講義を聞いたことがある人は
思い出して笑っているはず。
ここでは、解説しない。

吉岡医師は、ソケイ部の静脈に針を刺した。
こちらは成功。
逆流させた血液で血糖値をみる。
血糖値は240、低くない。
冷や汗の鑑別の低血糖は否定できた。
(続く)


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