心臓破裂吉岡出動 その5

2013年05月03日 18:23

八戸ERには、2台のドクターカーがある。
23時までは、専用ドライバーがいるが、それ以降はいない。
医師自ら運転して、現場へ向かうことも出来るが、
帰りの運転は誰がするのかとか、
医師が八戸の地理不案内とか、
緊急車両の深夜帯運転は危険とか、
凍結路は更に危険とか、
様々な原因で、
冬の深夜帯の医師運転によるドクターカー出動はほとんど実行されていない。

赤車は、八戸ERに向かった。

当直医は、吉岡隆文医師(高知出身)、吉村医師(東京出身)。
ダイレクトブルーPHSが鳴った。
「ピックアップドクターカー出動お願いします。
多数傷病者。
一名意識障害。」
吉岡隆文医師は、準備を開始した。
青いドクターカー救急バッグ、
暖めた輸液2本、
超音波Vスキャン。
骨髄内針セット。
そして、自ら現場出動するための安全装備。
ヘルメットに安全靴。
反射板付長袖災害服。
準備は2分で完了。

準備が終わっても、赤車は到着しなかった。
どの署の赤車が向かっていたのか解らない。

近郊の赤車、白車は、ほぼ現場に向かっているはず。

少し経った。
赤車が八戸ERの玄関に横付けされた。
待ちかねた吉岡隆文医師が後部席に乗り込む。
発進した。
室内は、サイレン音でかなりうるさい。
途中で無線が入るが、後部席の吉岡医師には聞き取れない。

医師は現場の状況を全く知らない。
吉岡医師が乗った赤車は、国道に入った。

現場で救護所を立ち上げるのか、
それとも赤タッグに対応か?

赤車は、国道45号線を走り、現場へ向かう。
白車は、最短距離で八戸ERヘ向かう。
小さな八戸市だが、無数の道路がその間にあった。
ここで、ドクターカー赤車には、現場直行ではなく、
白車とドッキング指令が出た。

現場から重症患者1名を、東救急車が運んできる。
その救急車と吉岡医師の赤車がドッキングする。

赤車の機関員は慌てない。
八戸生まれ彼は、直ぐに国道45号線から、市内中心部にハンドルを左に切った。
白車からの患者情報を受けて、
指令課が、赤車のミッションを変更したのだ。
災害時は、少ない医療人で多数の患者を救うために
トリアージを行う。
平時は、重症患者1名を救うために、
大多数の医療人をERに投入する。

この瞬間、災害から
平時の救命救急にスイッチが切り替わったのだ。

赤車は、白車の現在地をカーナビで探した。
かなり離れていた。
赤車ドクターカーは必死の運転で白車に近づく。
路面は凍結。
(続く)

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