心臓破裂吉岡出動 その1

2013年04月29日 18:17

天気予報は、朝の冷え込みを伝えていた。
午前6時、夜明け前の八戸市内の気温は零下だった。
ドクターヘリは冬は格納庫待機で、
暖房をつけて、エンジンオイルの温度低下を防ぐ。
オイル温度が上がらないと離離が出来ない。
出動要請が来たとき、数分で離陸するために、
行っている、エンジンオイルを狙った暖房だ。

夜明けと共に、道路のアスファルトが輝き始める。
凍結の印だ。
積雪は1cm。
箒で掃けば吹き飛ぶくらいだが、
氷が路面に張り付いている。

今日の当直は南国土佐生まれの吉岡医師。
寒さに身震いした。

消防は、勿論全車スタッドレスタイヤにしている。
八戸ドクターカーも同じ。
黒光りした、夏タイヤより厚めのゴムでできているスタッドレスタイヤ。
緊急自動車のドライバーの頼りになる。


津波被害が大きかった八戸港。
その八戸港に、港をまたぐ巨大な橋がある。
八戸大橋と命名された、アーチ型巨大な橋だ。
片側2車線で、走り抜けると気持ちいい。
「むしゃくしゃしたとき、この橋を車で飛ばすんです。
右に真っ黒な海、左に真っ赤な煙を吐く火力発電所、
空には、白い水銀灯。
灰色のアスファルトを車で走るのが好きです」
転勤して今は聖マリアンナ医大にいる、
昆祐理医師がよく言っていた。

「橋の上の走行は気を使います。
冷気が下と上から来るので、
確実に凍結します。
速度を落として通過します」
入江ドクターカードライバーが夜の出動でこの橋を通過した時言っていた。

「北から八戸大橋を渡るのが好きです。
橋から見下ろす八戸の町は、
この瞬間だけ大都会に見えるから」研修医

その朝は、冷えていた。

フェリー埠頭に朝7時に大型フェリーが到着した。
北海道からわたってきた
大型車が続々と降ろされる。 
約8時間ぶりにアスファルトに接地したタイヤで、
それぞれの大型車は、
八戸の港から高速道路までの道を急いだ。
途中には、絶景の八戸大橋がある。
眠気覚ましに、窓を開けて走ると最高だ。
大型車のコックピットからは、橋の欄干を越えた景色が見える。
高い視線なので更に絶景なはずだった。

この後起こる事件を当直の吉岡医師はもちろん予想していない。
昨日朝から連続勤務で疲れがピークに達している時間帯だ。
(続く)
劇的救命ヘルメット


連休中休まず連載します。
全9回シリーズ
吉岡ファンは必読ですね。


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