手術中の心臓停止

2013年04月13日 18:41

大腿骨骨折の手術、1時間が過ぎた。
突然、呼気の二酸化炭素の吐き出し量が減った。
続いて、血圧が下がった。
麻酔科医師は、危機的状況を整形外科医に伝える。
アドレナリを注射、酸素を100%にする。
「手術中止してください」
続いてダイレクトブルーPHSを鳴らす。
出たのは軽米医師。
「整形手術中に、ショック状態、おそらく肺塞栓、
PCPSおねがいしたい」
「はい、解りました」
わたしは、その瞬間ERにいた。
「いいよ、直ぐ行こう」
「わたしは、PCPSチューブを持って走ります」濱館医師
「私は、CE(ME,臨床工学技師)に電話します)

手術室では、整形外科医が、皮膚の創を縫合していた。
アドレナリのおかげで、心臓は動いていた。
ただし、ショック。
二酸化炭素の量が少ない。

患者を仰向けにして、私はイソジンを両側の股に塗った。
吉村医師と丸橋医師は青い手術ガウンに着替えていた。
遅れて私も着替えた。

細いからだの女性の両側の股から太い針を血管に刺した。
だが、ガイドワイヤーがうまく進まない。
私は、針を抜いて、今度はメスを持つ。
皮膚切開し、直接血管を剥がす。
眼で血管を見て、針を刺す。
だが、今度も、静脈にガイドワイヤーがすすまない。
次に、静脈をメスで切開した。
皮膚を切るのは丸い刃のメス。
血管を切開するのは、とがった刃のメス。
静脈は、5mm径の口をパカリと開けて、その中から黒い血が湧き出た。
その孔に、管を入れるだけ。
簡単な仕事のはずだった。

だが、今度も、チューブが進まない。

静脈の外側に白く輝く動脈が見える。
今度は、動脈を切開した。
その孔からは、黒い血が出てきた。
本来は、鮮紅色のはず。
酸素が血液に溶けていないと、黒くなる。

パカリと開いた動脈の孔にチューブを刺し込んだ。
こちらは、OK.

患者の心電図が変わった。
心室細動VFだ。
成田研修医が電気ショックパドルを女性の胸に押し付けた。
そして、電気ショック!
成功だ。
心電図が元に戻った。
赤い血圧測定値はまだ低いが、元気な波を出していた。
(続く)


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