Wの軌跡、Wの悲劇 その2

2013年03月21日 18:36

ドクターヘリ要請を告げるパトライトと電子音がまず鳴った。
カンファランスの会話が途絶える。
カンファランスルームの隣で待機している
機長と整備長が走り外に出た。
10秒後、原医師のポケットでドクターヘリ出動コードブルーPHSが鳴る。
ヘリ番の原医師と、2年目研修医長谷川医師が部屋から出て行った。
長谷川研修医は新潟県生まれ、
東北大学を卒業し、
競争倍率が高かった、
八戸市立市民病院研修医試験に合格した。
八戸市立市民病院では、臨床研修のプログラムに、
内科と救急、地域医療の国で定めた必修科目だけでなく、
産婦人科、小児科、麻酔科、外科、精神科も必修にしている。
それは、私の経験から。
ローテーション研修をしたことがない、
日本の多くの指導医には、このよさはわからないだろう。
長谷川研修医は、現在救命救急センターの研修中。
指導医の原医師と一緒に行動する。

青森県病ヘリは、出動中だった。
久しぶりの冬の青空の下、
113Dが飛ぶことが出来る。
着陸地点を整備する消防は、
並大抵のことではない。
この豪雪のあとでドクターヘリを安全に着陸させるために、
着陸予定地を除雪する。

五所川原消防から要請が青森県病CSに入った。
青森県病ヘリは出動中。
重複要請のときは、もう一機の青森県ドクターヘリのCSに消防は電話する。
五所川原消防から八戸CSに電話がきた。
ホットラインだ。
「青森県病ヘリが出動中のため、
八戸へりに出動してほしい」
CS吹谷は、天気図を見て
「出動できます」

原、長谷川医師を乗せたEC135は青空に離陸した。
病棟7階の高さを過ぎると、風は強くなった。
風を受けても、ヨーロッパ製流線型のFRPボディーはびくともしない。
風をすり抜けて、北へ向かう。
空気抵抗がいい。

冬の八甲田山を抜けるのは、今年初めてだ。
十和田市を越えて、
八甲田山へ向かう。

八戸CS吹谷は、パソコン画面で、
青森県病ヘリが五所川原に向かっていることすでに確認していた。
五所川原消防が、ドクターヘリを2機、別事案に要請していた。
同じ、グラウンドにドクターヘリは2機着陸することになる。
先着県病ヘリは、外傷患者へ出動。
次着八戸ヘリは、頭痛意識障害患者のはずだった。

五所川原消防は、八戸から五所川原までの距離と時間を考慮して、
八戸ヘリを飛ばしながら、
青森ヘリの状況を調査した。
「もしかしたら、青森県病ヘリを頭痛意識障害患者に
振り分けることが出来るかもしれない。
そのほうが、時間の節約
人員節約、
燃料節約、
ドクターヘリ節約。
五所川原消防は八戸ヘリをキャンセルする。
八戸CSに電話で伝える。
(続く)


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