海の町八戸 その4

2013年01月31日 18:45

8時5分真っ白いEC135は消防支援車に誘導されて、
緑色のど真ん中に着陸した。
接触したわれわれが見た物は、2年前の男性とは違った。
呼吸は停止、冷たい。
頚動脈は触れない。
二次救命処置を開始して、ヘリコプターに収容する。
鳩山研修医は、難しい現場で気管ソウカンを一発で決めた。
介助者は現場には存在しない。
準備、ソウカン、スタイレット抜き、
カフ空気注入、位置確認、固定、人工呼吸、
すべて1人。
ただし、私は、横目で
人工呼吸のたびに上下する
患者の胸郭を見ていた。
この胸の動きなら、
チューブの位置はいい。
ナースは私の血管確保の介助。
冷え切った男性の腕の静脈は縮み上がっていた。
腕にゴムを巻いたが、血管は見えない。
ソケイ部を探す。
まず、ハサミでゴム合羽を切り裂く。
冷え切ったソケイ部を露出し、針を刺す。
血圧がある患者なら、鼠径部の動脈の拍動を触れて、
その内側に針を進める。
静脈は、動脈の内側にある。
だが、この患者には
もちろん動脈の拍動はない。
針を刺す位置は、
経験で見当をつける。

救急隊は胸骨圧迫を続ける。

私は腕の血管穿刺に続き、
ソケイ部の穿刺にも失敗した。

3番目は、内頸静脈だ。
狭い救急車内で、私は50cm頭側に体を移した。
胸骨圧迫する救急隊員の頭側に移動したのだ。
私は頭の右側に入った。
私の左には、大柄な鳩山研修医が、
バッグバルブで人工呼吸中。
右には、CPRの救急隊。
次々と失敗する私の血管確保のため、
ナースは、次々と新しい針を出す。
(続く)


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://doctorheli.blog97.fc2.com/tb.php/1261-d50f9171
    この記事へのトラックバック