二人の腎破裂その2

2013年01月13日 18:34

意識が落ちる出血性ショックだ。
出血量が多いときに、意識が落ちる。
輸血が必要だ。
それも急ぐ。
血液型はすでに判明していたので、
血液型にあった赤血球輸血をはじめる。

私は、手術を決断した。
30分後、男性は手術室へ移動した。
手術はスピードだ。
出血源は右腎臓だ。
大出血で、右大腸の背中側が、ドッジボールくらい競り上がっている。
ドッジボールは、赤黒い色だ。
右大腸の外側をハサミで切る。
そのまま、左指を入れて、
右大腸を中央に持ってくる。
ドッジボールの表面が剥がれる。
その背中側に右腎臓があるはずだ。
指をドッジボールの中央に差しこむ。
ふわふわしたドッジボールから赤い出血が出る。
比較的硬い組織をつかめた。
それは右腎臓だ。
右腎臓と思われる組織を左手でわしづかみにする。
ハサミを、その近くまで先を半開きにして進める。
切りながら進める。
右腎臓の半分が見えた。
大出血は続く。
右腎臓が砕けている。
左手で、砕けて腎臓の背中側を剥離した。
右手には、サテンスキー大血管カンシを持つ。
サテンスキー大血管カンシを右腎臓の内側に進める。
右手のサテンスキー大血管カンシの先を開く。
左手でその先の血管を感じる。
右手のサテンスキー大血管カンシの先を閉じる。
出血が止まる。
サテンスキー大血管カンシの中には、
腎臓の動脈、静脈、尿管が一緒になって挟まれた。
これで一安心。
出血が止まった状態で一旦手を休める。
休憩ではない。
一旦手を休めて、麻酔医師のほうを見る。
麻酔の吉村医師は、渋い顔。
ショックからまだもどらない。
輸血を急速に入れている。
それが終わるまで待つ。
血圧、脈拍が落ち着くまで待つ。
キャッチアップと言う。
キャッチアップできるまで待つ。
ギアチェンジが必要。
少しだけ待つ。
それが出血性ショックの緊急止血手術。
(続く)


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