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予測救命率36%への挑戦 その5

2012年12月26日 18:02

大動脈閉鎖バルーンカテーテルの留置をあきらめて、
骨盤骨折の止血目的に血管造影室へ移動した。
腹部外傷の重症ショックでは、真っ直ぐ手術室へ向かう。
骨盤骨折の重症ショックでは、血管造影室。
この違いは、後日説明しよう。

血管造影すると、
なんと、腹部大動脈に、
ひび割れが見えた。
大動脈内膜損傷だ。
造影写真を見た瞬間に
それまでの自信が萎えてきた。
救命できないかんもしれない。
重症すぎる。

大動脈内膜損傷の重症度(AIS)は5点満点の4点がつく。
骨盤開放骨折と、大動脈損傷では・・・・


それ以上の血管造影検査は出来なかった。
大動脈閉鎖バルーンカテーテルの留置が出来なかったのはこのためだ。
大動脈が砕けているのだ。

骨盤骨折に、大動脈損傷が重なった。
重症だ。

この時点で、予測救命率が低いことが予想された。
助からないかもしれない。
いまは、命があっても、
今後心臓が止まるかもしれない。
そんな、予感がした。
助けることができるのだろうか。


大動脈の手術と骨盤止血と両方必要だ。
手術室の準備をすすめる。
大動脈の手術には、動脈の損傷の形がわかる方がいい。

輸血を続けながら、男性は、血管造影室から、CT室へ移動した。
消防のオレンジ色のバックボードはまだ、男性の背中に添えられていた。
骨盤骨折患者をCT室へ移動したり、
血管造影室へ移動したりするとき、
振動で、骨盤骨折にせっかく出来た止血の血糊が外れることがある。
外れれば再び出血がはじまり、ショックとなる。
だから、そっと、CT撮影するために、
バックボードごと移動する。
バックボードはレントゲンを通す。
邪魔にならない。

CT撮影でさらに驚くことが判明した。
腹部大動脈が、内膜損傷で、完全に閉鎖していた。
完全に詰っていた。

下半身に血がめぐっていない。

そのほかにも異常がみつかる。
腹部に、空気が入っている。
腸に孔が開いていることを示す。

重症骨盤骨折と、大腸損傷は合併することがある。
特に、骨盤部の直腸がやられる。

CTでは、直腸損傷と小腸腸管膜損傷を疑った。
「小腸損傷ではないかもしれない。
重症な大腸損傷だッたら、どうしよう
むしろ、骨盤骨折だから
大腸の可能性が高い」
大腸損傷は糞便による腹膜炎になる。
こちらは最重症。

小腸損傷ならいいなあ、と祈る。
腹膜炎に対する手術も必要。
さらに、腹部出血も出てきた。
腹部出血の止血手術も必要。

本当に助けられるのか?
(続く)



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