困難なサンダーバード作戦 その7

2012年08月30日 18:01

女性に対して、外科医はCPRを汗だくで行っていた。
心臓は止まっていた。
私は、全身をクイックスキャンする。
心電図波形はPEA.顎をしゃくりあげる下顎呼吸をしている。
顔色は悪い。
頚動脈は触れない。

下顎呼吸は有効な呼吸ではない。
「瞳孔は?」私
「一旦、瞳孔サイズは、縮小して、行けると思ったんですが、今は散大です」外科医

撤退を考えた。
時間経過からは、撤退だ。
しかし、一旦心臓が動いたり、
瞳孔が縮小したり、
停止した呼吸が出てきたり、
いい条件もある。

「予定通りやろう」
私が言う前に、
吉村医師はすでに、自動心臓マッサージ器を女性の背中に入れようとしていた。
野田頭医師は青いガウンを着始めていた。
「やるだけやってみます」私
「おねがいします。まだお子さんは小さい」外科医

外科医の入れてくれたV1ヴェニューラのおかげで、
PCPSチューブ静脈用は、容易に入った。
約1mのチューブの先端を、心臓の直ぐ手前に行くように進めた。

私は、救急隊に尋ねた。
「ドクターヘリはどうなりました」
「着陸済みです。」
「どこに」
「近くです」
「それなら、今すぐ搬出。
みんなで、搬出用意。
それぞれ動いて。
動脈チューブは、空の上で入れる。
時間節約だ」
私は、まだ患者を救命できる方法を探っていた。

患者を乗せた救急車に、私、野田頭部長
後ろにはドクターカーが続く。
吉村医師と湊研修医が乗る。
二人は、学年は全く違うが、
広島大学卒業。
西日本では
「ヒロダイ」といえば「広島大学」
二人とも、
青森県に来ておどろいた。
ここでは、「ヒロダイ」は「弘前大学」

救急車移動で、4分でランデブーポイントだった。
すでに、EC135は着陸済み。

吉村医師は、ドクターカーから直ぐに降りて、
自動心マッサージ器の位置を再確認した。


緑の芝はいつもどおり。
JA112Dの機体番号もいつもどおり。

違うのは、私がヘリ番でないこと。
私が、地上をここまで移動してきたこと。

私は、まだ迷っていた。
空の上で本当にPCPSチューブを挿入することが出来るのか。
もしかしたらそれは無謀なことか、

(続く)


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