朝の出動 その4

2012年08月22日 18:58

「ヘリ搬入おねがいします。
車を近づけますか。
それとも担架移動」
救急隊長と整備士は顔を見合わせて
「担架移動です」
「それなら準備お願いします」

私は、家族から情報収集した。
「朝、5時半にトイレに自分で行った、
そこで倒れたらしい。
自分が発見したときは8時過ぎ、
そのころには、足が動かなかった」
「その前、元気な姿は昨夜ですか」
「昨夜7時ころはいつも通りでした。それから寝たようです」
私は時計を見た。
8時40分だった。
脳卒中血栓溶解薬、tPAの使用限界時間3時間は越えていた。
「脳卒中、血栓を溶かす薬の制限時間を越えています。
残念ですが使えません。
これから、救命救急センターに運んで、直ぐにCT検査をします。
そして、治療法を選びます。」

女性をドクターヘリストレッチャーに乗せ変える。
芝地ではストレッチャーの車輪は回らない。
みんなで持ち上げてドクターヘリに近づく。
クラムシェルドアから患者をヘリに収容した。
私は、いち早くEC135のドクターシートに乗り込んだ。
クラムシェルドアから押し込まれる女性の頭部を誘導し、
ストレッチャー左についている30cmほどの小さな酸素べんべがナースシートにぶつからないように配慮した。
ナースも乗り込み、心電図モニターの電極ワッペンを貼った。
3人が乗り込んだことを確認した私は
「エンジンスタートどうぞ」と機長に告げた。
機長は電源をいれて、
細かいスイッチを操作し始めた。
女性の腕に血圧計がかまれたころ、
メインローターはゆっくりと回転し始めた。
「もう直ぐ音が大きくなります。
ヘッドホーンで会話できますから」ナースは細かい説明をする。
女性の頭に、ヘッドホーンが付けられた。

離陸。
芝地の隙間にずるがしこく生えていた、綿毛の雑草の種が吹き飛ぶ。
芝地が一方向になびく。
エンジン音はさらに高くなった。
「ナースと、新美先生は席を交替して」私は、身振りも加えて二人に指示した。
「離陸してから、患者の左腕に輸液ラインをとってね」私

私は、現場救急車内で、輸液の針を失敗したことを思い出す。

現場時間を節約するため、
離陸後に輸液ラインをとる。
(続く)


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