ショックにCT撮らずに転送○ その3

2012年08月13日 16:56

機長はスロットルを上げる。
エンジン音がさらに高くなる。
先ほどまで目で追えた2色の4枚のメインローターの回転が、
すでに肉眼でとられるスピードを越えて、透明に見える。
回転数が上がったことは、周りの草のなびき方でもわかる。
雑草の綿毛が飛び交う。

目の前の7階建ての病棟には、たくさんの患者の顔が見えた。
みんな、窓からこちらを注目している。
全室ドクターヘリヴューの病院だ。
2009_0408_231154-DSC07781 (640x480)


「離陸します。シートベルをもう一度確認してください」機長
「後ろは、OK」私
EC135はゆっくりとコンクリートからスキッドを離し、空に浮かんだ。
そのまま、200m上空までほぼ垂直に上がる。
7階病棟の窓ガラスにへばりついていた患者と視線があったような気がした。
EC135の窓ガラスは、黒ぽいスモークガラスなので、
外から室内はよく見えないはず。
こちらは見えても、病棟から私の瞳孔の動きは見えない。
DSC00422 (640x480)
スモークガラス曲面に映る青い空

斜めに高度を上げる。
機種を北西に向けるように、右旋回を始めた。
高度300mには5秒。
右に太平洋、左は八甲田山、
後ろは岩手県の山。

現場出動では、謎解きのようなもの。
しかも重症。
受け入れ病院の選定もストレス。
八戸から50km圏内ならすべて八戸救命で受ける。
だから楽。
しかし、つがる地方や青森市では、
そうは行かない。
「なぜうちの病院なんですか?」
そのような押し問答が現場で起こることがある。
転院搬送は、受け入れ施設が決まっている。
だから転院搬送では、緊張感がすこし落ちる。
(続く)


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