熱中症発生 最終

2012年08月07日 23:35

13時37分離陸。
いつも、救急バッグはクラムシェルドア近くに置くのだが、
今日は違う。
「搬送中に、十分急変あるよ、救急バッグは足元に置く」
先ほどまで、野田頭部長が座っていた席には、家族が乗っていた。

私は、気道確保のため、患者の顎を持ち上げた。
ジアゼパムがよく効いていた。
痙攣は治まった。
痙攣止めのジアゼパムにより、呼吸が弱くなることは日常的なこと。

ジアゼパムで呼吸が止まっても、
痙攣が軽く、、
ジアゼパム薬剤の効果がなくなるころ、患者の意識が戻るならば、
気管ソウカンは不要。
しかし、痙攣重積(続いている)、その後に集中治療が必要なときは、
躊躇なく気管ソウカンする。

ヘリコプターが離陸したあと、水平飛行に移ったとき
「シートベルトをはずします」わたしは機長の許可をもらった。
ドクターシートの前は患者の頭。
シートベルトをはずすと、
すぐに、気管ソウカン体制が取れる。

こんまま、下顎を持ち上げて、
気道を手で確保して搬送をすすめるべきか。
いっきに気管挿管すべきか。
悩む。

気管挿管をまよったらGOだ。
経過をみて不要だったら、すぐに抜けばいい。
しかし、気管挿管が遅れると、
命取りになる。
さらに、切羽詰ってからの気管挿管はむずかしい。

銀色の喉頭鏡を男性の口に入れた。
予想通り、嘔吐の後があった。
熱中症重症、嘔吐あり、
気管ソウカンを早めにすることが、患者の益となる。
決断は早かった。
「ソウカンするよ」私はナースに7文字を伝える間に、
気管チューブを右手に持った。

右小指にチューブを持ち、
右親指と示指で、口をさらに開く。
喉頭鏡を喉に入れて、
舌を持ち上げる。
白くふちどりされた、声門がみえる。
その脇には、嘔吐物がある。
ソウカンは容易だった。
ヘリ内では、チューブ確認の呼吸音の確認は正確に出来ない。
騒音のため。
胸の上がりで、確認する。
大丈夫だ。
念のため、もう一度、
喉頭鏡を喉に入れて、声門通過を確認した。
人工呼吸を開始した。
私はシートベルトをしめた。
「あと、3分で着陸です」整備長の声
まどから、階上だけがきれいに見えていた。

13時44分八戸に到着。

現場置き去りの野田頭部長は、バスを二つ乗り継いで、現場から病院に帰った。

暑い夏、八戸から離陸するドクターヘリが活躍する。
(熱中症発生 完)


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