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漁船出漁前のVF

2018年11月04日 18:49

八戸港は大きい。
全国各地から漁船が集まる。
遠くは、中国地方所属の漁船も交じる。

夏の朝。
その漁船は宮城県石巻市の所属。
その漁師の多くは、石巻の人。
着岸中の漁船のなかで、
漁師は作業中に倒れた。
作業中の同僚が気づく。
作業中の上司は呼吸停止だと思った。
午前4時30分119通報が同僚からされた。
上司は岸壁で胸骨圧迫を開始した。
八戸消防指令室では、
直近の救急隊、
八戸東救急隊の若木隊長が出動させる。
さらに現場により近い小中野消防署からは、ポンプ車が同時出動させる。
3分後に2台はサイレンを鳴らして出動した。
4時39分。2台は同時に現場に到着した。
上司が岸壁でCPRをしていた。
若木隊長は頸動脈を触り、心停止を確認した。
隊員にCPRを引き継がせた。
そしてAEDパッドを胸に貼った。
機関員がバッグバルブマスクで換気した。
人工呼吸で胸がよく上がった。
4時41分AEDからの電気ショックメッセージが出た。
若木隊長は波形VF、脈なしを確認した。
隊員を離れさせた。
オレンジ色のショックボタンを押す。
直ぐにCPRが再開する。
呼吸は出てこない。
動きもなし。
CPRが2分間行われたころに、
4時41分、再びAEDからショックメッセージが出た。
1回目と同じように、
人を離れさせて、電気ショックボタンを押した。
直ぐにCPRを再開する。
動きはなし。
CPRを続ける。
4時44分自発呼吸が出てきた。
だが頸動脈は触知しない。
CPRしながら車内収容する。
車内での心電図波形はPEAだった。
心電図上で波形はあるが、
頸動脈を触知しなないことをPEAと言う。
4時48分現場を出発する。
4時53分搬送中に頸動脈を触れるようになった。
人工呼吸だけを続けた。
午前5時ちょうど病院着。
開眼している。
男性には心臓カテーテル検査が始まった。

救命救急センターに入院する。
10日後、石巻市へ元気に帰宅した。
漁業都市八戸の救急体制を自慢するかのように。

後遺症なし。
劇的救命だ。

畑で心肺停止

2018年10月18日 20:06


午前8時39分同僚が目撃した。
40代男性畑で卒倒。
8時40分119通報
「畑作業を開始した直後に崩れるように倒れた。
意識朦朧、硬くなって唸っている」

46分救急隊は早くも現着
男性は心肺停止だった。
残念だがバイスタンダーCPRなし。
47分救急隊はCPR開始
三沢救急隊の馬場指導救命士が指示を出す。
救急隊員は効率よく動く。
8時49分AED解析で心室細動だ。
ボタンを押してショック1回。
その瞬間、ウーウーサイレンのポンプ隊が到着した。
PA連携で現場に消防隊が駆け付ける作戦だ。
AEDや、CPR中、、足元が悪い現場等、
救急車内への収容を短時間にするため、
2分節約するために、
消防車が現場に駆け付けるPA連携だ。
Pポンプ車。A救急車(アンビュランス)。

8時51分ドクターヘリ要請が八戸CSにホットラインで入った。
54分ドクターヘリが八戸を離陸する。
8時58分男性は救急車内で心拍再開した。
馬場指導救命士率いるPA連携隊の技の勝利だ。
9時1分着陸三沢ホスピタルパークに。
救急車の男性にフライトスタッフが接触した。
救急隊が心拍再開させてくれれば、
後を引き継ぐドクターヘリ隊は現場から
集中治療を開始できる。
社会復帰を目指した集中治療だ。
呼吸20回、脈あり78回
除脳硬直。
除脳硬直はよくないサインだが、
対光反射ありで、こちらはいいサインだ。
エコー券さでは心肥大あり。
心電図で左脚ブロックがある。
脳圧を下げるために、
二酸化炭素を適正に保つ。
そのためには、気管挿管だ。
人工呼吸だ。
挿管成功。
心エコーでは心臓の動きがよくないので、
病院で心臓けてーてる検査を予定する。

せっかく心拍再開した心臓だが、
もたもたすると、再び現場で心停止する。
ドクターヘリの現場活動時間を15分以内にとどめたい。
9時12分男性をドクターヘリへ収容した。
ここでも、屈強なポンプ隊に男たちが助太刀してくれる。
マンパワーで1分節約する。
安全確認してくれたポンプ隊を眼下に見て、
9時14分ドクターヘリは三沢市を離陸した。

上空500mで
突然徐脈となった。
頸動脈が弱い。
直ぐにアドレナリンを注射した。
9時22分八戸ER着陸した。
9時37分心臓カテーテル室へ移動した。

循環器内科医師が心臓カテーテル治療を開始する。

12時ちょうど男性は救命救急センターへ入院した。
体温は冷却され脳蘇生を継続する。
社会復帰を目指す。


10日後
男性はICD植え込み目的に弘大病院で転院した。
ICDとは体内に植え込む自動除細動器のこと。
次に起こる、心停止、心室細動に、全自動で電気ショックする機械。
心停止を予防する。

社会復帰だ。

劇的救命だ。

心筋梗塞劇的救命 後半

2018年10月08日 17:03

気管チュブの端を吸引し、ジャクソンリースバッグで人工呼吸を始めた。
すると酸素飽和度が85%に上がった。
それまで、測定不能だった酸素飽和度が。
私はこの後の心停止を予測した。
次のイベントは心臓停止だ。
「早く運ぼう」
チームは連携して患者をドクターヘリに収容する。

15時33分ドクターヘリは三戸を離陸した。
飛行中は、橈骨象脈を弱く触れることができた。
心電図12誘導では、
STが上昇している。
酸素状態がよくなったせいか、
動きが鈍かった両上肢が動き出した。
良かった、心臓停止の兆しはない。

15時42分八戸ER着陸。
ただし、
血圧測定不能。
直ぐに心臓カテーテル検査が始まった。
心臓カテーテル検査中に心室細動・心臓停止が2回起きて、電気ショックで治る。
心臓の冠動脈が3本とも詰まっていた。
続けて、
手術室へ移動し
冠動脈バイパス手術が始まった。

10日後食事を食べて会話している。
心臓停止を予想してドクターヘリ搬送が成功した。

劇的救命だ。
・・・・・・・
患者を特定されないように
掲載時期をお幅にずらしています。
年齢性別などを変えることがあります。

心筋梗塞劇的救命 前半

2018年10月07日 17:02

男性は胸痛を訴えて三戸病院を受診した。
最初は心電図変化がなかったが、2回目の心電図で異常が出た。
主治医は八戸救命救急センターへの転送を決意する。
ドクターヘリ要請は15時1分。
4分後ドクターヘリは離陸した。
10分の飛行で三戸病院の駐車場に着いた。
三戸病院は、駐車場の一部をドクターヘリ専用着陸場にしている。
普段から、着陸予定地には車を停めていない。
広々としたアスファルトの駐車場をめがけてEC135が降下する。
三戸病院の3階病棟の窓に、白い機体が映る。
窓に映る白い機体は思ったより巨大に見える。
窓3つ分におさまらない。
2階の病棟に影が移る。
そして着陸した。

私と田中医師、ナースは機外に出た。
小走りで1分、三戸病院の救急室の自動ドアを開ける。
男性は救急室のベッドにいた。
ベッドの上で仰向けで目をつぶっている。
上半身は少し起こしてある。
心不全体位だ。
冷汗が全身にある。
橈骨動脈が弱い。
酸素飽和度が測定不能。
血圧測定不能。
もはや心不全の進行した心臓原性ショックだ。
脳血流が落ちていて、意識が悪い。
上半身を挙げて対応できる時期は過ぎている。
むしろ、脳血流確保が優先される。
私は、ベッドを水平にした。
「ここで気管挿管します。8mmチューブ用意して、鎮静はミダゾラム1mg静注のみ」
鎮静剤を通常両使うと、
心臓停止するかもしれない。
わずか、ミダゾラム1mg静注で、患者のあごは柔らかくなった。
気管挿管できるくらいに開口できる。
気管挿管は簡単だった。
(続く)

泥沼からの劇的救命 最終

2018年05月16日 19:12

一体、この男性一人を救命するために、
何人が関わったのだろか。
それに報いるためにも、
高度な蘇生処置と蘇生後治療が続く。

劇的救命を信じて。
・・・・・・
努力は報いられた。
救助、救急、ドクターヘリ、救命救急、救急看護、リハビリ、
総力で挑戦した。

男性は2週間後、廊下を歩いていた。
リハビリを開始できるまで元気になった。
笑顔がある。

「感謝しきれない。
薄れる意識の中で死を覚悟した」と

3週間後に、自宅へ退院。
劇的救命だ。


泥沼からの劇的救命 完