救命センター充実度92点

2017年02月27日 18:02

救命救急センターの診療体制の
平成28年度の充実度を厚生労働省が発表しました。
27年度実績です。
八戸市立市民病院救命救急センターは
自己最高タイの92点を獲得しました。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000148552.pdf
これで4年連続
東北北海道で一位です。
救急車受け入れ数5,943件
重篤患者数2,106人。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000148270.pdf


全国一位は
神戸市立病院で
なんと101点の満点。

過去の記録を見ると
平成26年度救命救急センターの充実度評価結果では、
八戸市立市民病院救命救急センターは得点92点。
26年度は充実度全国9位でした。
その時は
東北北海道で初めて90点越えです。
その時も
一位は神戸市立病院。

さらにその前、
12年前の八戸市立市民病院救命救急センターは
充実度は全国下から2番目でした。
私が赴任してきた年です。
それと比べると
八戸は
大躍進です。

顔面外傷にサンダーバード作戦 最終

2017年02月26日 18:12

ナースはイソジンを渡してくれた。
左胸のシャツは切り開かれていた。
私は男性の左腕を頭側に挙げた。
これで、肋骨の間が開く。
開くと、手術しやすい。

円靱〈丸いメス〉を使う。
胸骨左から中腋窩戦(広背筋の手前)まで、
左乳頭より4cm下方を弓状に切開した。
メスは3回引く。
皮膚、脂肪、筋肉、
胸膜はペアン鉗子で突き破る。
穴をあけた胸膜にハサミを入れる。
内側、外側の順で胸膜とそれにくっついている筋肉を肋間で切開する。
私は、両手で、肋骨をつかむ、そして、
切開した創を開大した。

創から見えた肺は、出血していた。
血胸はすこしある。
心臓破裂はない。
大動脈損傷は見えない。
横隔膜破損ない。

右手の平で心臓を握った。
大きさは普通。
手のひらサイズだ。
心嚢液はない。

心臓マッサージをしながら、指示を出す。
「佐々木先生、呼吸数は12回。過呼吸は心臓によくない。
静脈還流が減るから。」

「隊長、現場出発してください。
陸路出ERに運びます。
ドクターヘリは帰ってもらってください」
現場滞在時間は4分だった。

開胸術で心拍再開すれば
ドクターヘリ搬送を考えたが、
今回は、心静止状態であったので、
CPRを継続しやすい陸路搬送を選択した。
17分後に救急車はERに到着した。

残念ながら奇跡は起きなかった。

合掌。

(続く)

顔面外傷にサンダーバード作戦 完

顔面外傷にサンダーバード作戦 その3

2017年02月25日 18:11

消防隊の誘導で、
私たちは走った。
約200m。
両方方向の車線は通王止めになっていた。
上空から見た事故現場は近づくと凄惨なものだった。
一体どうすればこのように電柱と車がぶつかるのか。
運転席は大破し、形がない。
これでは、運転手は、重症に違いない。
ひょっとしたら、心臓停止しているかもしれない。

事故車両には、患者はいなかった。
消防隊長が救急車の方を指さした。

我々は、事故現場の南10mに停車していた救急車に近づいた。
ハッチドアをノックしてから開けた。

救急隊長はCPRをしていた。
「通報時は呼吸ありだったようです。
救急隊接触時はCPA.
波形はPEAです」
口腔内から血液が飛び出ていた。
胸骨を押すCPRは、ゆがんだ胸壁に無効に思えた。
男性はまだ若かった。
私は、すこしの間考えた。
鈍的外傷で、現場で心肺停止状態。
救急隊接触時にすでに心肺停止状態。
胸部と顔面外傷。
もしかしたら、頚髄損傷かもしれない。
私は悩んだ。
ここで開胸手術すべきか、否か。
もし、開胸手術しないのなら、
諦めるということだ。
この変形胸壁に通常のCPRは効果ない。
結論を出した。
現場で開胸し心臓を動かそう。
開胸心マッサージをしよう。
そう決めた私は、看護師に告げた。
「ここで左開胸する。
佐々木研修医は、気管挿管して。
気管挿管は難しいよ。
顔面外傷で血だらけだから、
正門が見えないかもしれない。
ガムエラスティックブジーを用意してから挿管して。
救急隊長は、両手で頚椎を保護してください。
両手で耳を持って、首を一直線にしてください。
喉頭鏡で挿管しますが、
負けないように、手で頚椎を固定してください」
「やってみます」佐々木研修医
佐々木研修医にとっては、
始めてのdifficult airwayだ。
「ゆっくりとい準備していいよ。
慎重にチューブを入れて、
最高にいいのは気管挿管成功。
2番目は、挿管できない。
最悪は食道挿管だから。
(続く)

顔面外傷にサンダーバード作戦 その2

2017年02月24日 18:09

ドクターヘリは当初予定されたランデブーポイントのフェリー埠頭の岸壁ではなく
路肩工事の空き地に着陸できそうだった。
もし、フェリー埠頭岸壁なら、
そこから赤車で陸路移動になる。
そうなれば、
ドクターカーの方が先に患者と接触することになるだろう。
整備長は上空から、消防隊に無線を入れた。
「ドクターヘリは、事故現場東の路肩工事現場に着陸します。
誘導お願いします」
空からは一目瞭然だが、
交通事故現場にいる消防隊には、
路肩工事の場所はすぐに判断つかなかった。
地上で右、左に迷った消防隊だったが、
EC135の降下方角を見て、
すぐに合点がいったようだ。
路肩工事の関係者の話をしているのが上空から確認できた。
工事関係者は工事現場から離れる。
海岸道路の事故現場と反対側の車線も交通を消防隊が止めた。
EC135はゆっくりと高度を下した。
路肩工事現場には誰もいない。

この少し前、
八戸消防はサンダーバード作戦で陸路を走っていた
ドクターカーの出動を中止した。
ドクターカーは国道をUターンして病院へ戻った。

機長は高度50mくらいでいったん停止した。
整備長は、
肉眼で、着陸地が平らなことを確認した。
突起物が近くにないことを確認した。
機長は再び高度を下した。
ダウンウォッシュが雪を蹴散らした。
EC135は先に右、次に左のスキッドを地面に着地させた。
機体の正面左に赤車が見えた。

整備長が言う。
「前方左です」
「患者収容はここですか、それとも、
ヘリは移動してフェリー埠頭ですか」私
「ここです」整備長
ドクターヘリは着陸して医師看護師を下す。
できるだけ現場近くに降ろす。
しかし、その場所では、
患者収容にストレッチャーが近づけないときは、
あらかじめ決められたランデブーポイントに移動する。

私、佐々木研修医、ナースの順番で外に出た。
救助現場活動になるので、
ヘルメットをかぶって下りた。
(続く)

顔面外傷にサンダーバード作戦

2017年02月23日 18:06

午前中に胸痛の現場出動。
午後の要請は、交通事故現場からだった。

ヘリ番は、私と佐々木研修医。
佐々木研修医は東京生まれ。
東京医科歯科大学卒業。
救急医志望だ。

道路の雪にハンドルを取られ、
スリップした。
路肩の街路灯に激突し、
運転席は大破。

119通報は
「運転席で、口から血を吐いている。
意識はある」

ランデブーポイントは現場近くにはない。
ドクターヘリが早いか、
ドクターカーが早いか、
病院から13km地点では、
判断できない。

八戸消防はサンダーバード作戦を決行した。
ヘリ番は私と佐々木研修医。
ドクターカーは近藤医師と栗原医師だ。
同時に病院を出る。
陸路と空路で北へ向かう。

先着はドクターヘリだった。
交通事故現場の海岸道路は渋滞していた。
右に青い太平洋。
その内側には、灰色の巨大な工場。
その内側にある海岸道路だった。
片側2車線は、
工場に出入りする大型トラックも余裕で走るように、
広い車線だった。
路肩工事が何か所科で行われていた。
雪が積もっている平らな路肩で、
ところどころ黒いのが見える。
そこは路肩工事だった。
事故現場の中央には赤車と白車がいた。
路肩工事の反対側の歩道には、
電柱が立っていた。
その電柱に普通自動車の運転席から右後部席がめいりこんでいた。
めり込みは激しく、運転席の屋根はなくなり、屋根の半分は変形していた。
運転席のドアもなくなっていた。
路面には、高さがあるわだちができていた。
事故車は、車道から歩道に乗り上げ、
電柱の外側に位置して止まっていた。
(続く)