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青森ドクターヘリ 劇的救命日記」第32話

2020年03月28日 18:58

お世話になっております。
「青森ドクターヘリ 劇的救命日記」第32話が
本掲載となっておりますのでご連絡致します。
どうぞご覧下さい。

https://www.drsgate.com/company/c00042/kon_index.php

tPA注射後に大出血 最終

2020年02月07日 18:52

開頭手術では簡単に出血は止まらなかった.
さらに
開頭手術中に、再び腹部からの出血が増えた。
血圧が低下する。
輸血をする.
減圧開頭止血手術を急いで終了する.
頭の手術の皮膚を閉じた。

男性には救命救急センターで呼吸と循環、脳、出血傾向,感染の集中治療を続けられた。
そして二日目、
止血は成功した。
しかし,脳が腫れてきた.
腫れて脳の圧力が上がってきた.
第2の危機だった.
2回目の開頭手術に挑む。
脳の圧を減らす手術をする.
うまく行った.
6日目、腹部閉創の手術をようやくできた.

男性の意識はゆっくりと戻っている。

感染性心内膜炎のデューク (Duke)臨床的診断基準がある。
素因: 素因となる心疾患または静注薬物常用
発熱: 38.0℃以上
血管現象:敗血症性梗塞,頭蓋内出血、
Janeway病変(ジェーンウェー病変)
免疫学的現象: オスラー結節、Roth斑

オスラー結節は,指頭部にできる有痛性紅斑である.
皮膚表面は発赤し,盛り上がり,中心部は蒼白色を呈する.
1885年,ウィリアム・オスラー先生により,
細菌性心内膜炎患者にみられる特徴的所見として記述された.
以後120年近く経過している.
黄色ブドウ球菌による急性心内膜炎では手掌,足底に細菌性塞栓を起こすことがあり,
ジェーンウェー病変と呼ばれる.痛くはない.
ローレンス・ティアニー先生は,
「急性心内膜炎の四肢の感染性塞栓では,決して圧痛がない(ジェーンウェー病変)」
“Acute bacterial endocarditis infected emboli never tender”
「急性期の後の心内膜炎の四肢のオスラー結節は,免疫複合体によるもので,常に圧痛を認める」
“Osler’s nodes with subacute endocarditis is immune complex, always tender”

この患者に足の指には,手術後にジェーンウェー病変が出てきた.
化膿性心内炎による
敗血症性梗塞と頭蓋内出血だった可能性がある.

tPA注射後に大出血 完

tPA注射後に大出血 その3

2020年02月06日 18:51

米国では腹部が原因の出血性ショックで、
緊急輸液後もバイタルサインが安定しない時は
迷わず開腹止血術を行う。
日本では、手術室と外科医の準備より、
血管造影室と放射線医師の準備が早い病院が多いので、
先に開腹手術でなく、血管造影止血を選択することがある。
この問題を米国人に説明しても理解してくれない。
八戸では、開腹止血術と血管造影止血のメンバーが同じなので、
定石どおりに、先に開腹止血術をする。

手術室へ移動する。
緊急開腹止血術を行う。
肝臓損傷からの出血が多い。
他にも出血点がある。
tPAによる異常出血だ。
tPAにより,止血力がない.
外科的に縫合で止血できる範囲を超えている。
だが肝臓出血部を圧迫すると、出血の勢いが減り、血圧の安定化が得られた。
それなら止血タオルを入れて圧迫を継続すればいい.
いい感じで一回目の手術を終えた.
二回目の追加の手術を計画する。
あるいは、3回目と追加の手術が必要かもしれない。
閉創せずに、open abdomen とした。
創はひらいたまま.
フィルム状のシートで腹部の創を覆う.

術後にCT検査室へ移動する。
CTでは、脳に出血性脳梗塞がある。
しかも、脳ヘルニア徴候もある。
脳梗塞に対して,血栓を溶かそうと前医が使った薬剤tPAが,
血栓を溶かすだけでなく,
脳梗塞に陥った虚血脳に出血を起こしたのだ.
このままだと,
腹部の出血を止めても,
脳出血で患者は命を落とす.
今野副所長は緊急開頭止血術を決定した。
(続く)

tPA注射後に大出血 その2

2020年02月05日 18:50

翌日、午前3時半近医病棟で異変が起きた。
右上下肢の麻痺、
眼球が左側に偏っている。
ろれつが回らない。
意識障害。
血圧147、脈拍131、呼吸数20、体温38度、酸素飽和度94%、意識GCS8。
担当医は、緊急頭部CT検査をした。
急性期脳梗塞と考えた。
最終未発症時刻は午前2時。
午前6時tPAを注射した。
注射後に救急車に乗り八戸ERへ転送されてきた。

しかし、搬送途中で血圧が下がる。
予想外だ.
通常脳梗塞で高血圧なのに.
脳梗塞症状で低血圧の時に考えるのは,
出血性ショックそのもの,大動脈解離,化膿性心内膜炎が原因で細菌塞栓播種による脳梗塞.
担当医師は救急車内で輸液スピードを上げた、
だが血圧は戻らなかった。
ERには救急車から連絡が入った。
「ショック状態、顔面蒼白」
八戸の田中医師は,出血性ショックと大動脈解離と化膿性心内膜炎を考えた.
この3つに共通する治療は輸血だ.
ERには緊急加温輸血装置レベルワンが用意された。

ER入室時に患者はショック、腹部膨隆、
血圧81、脈拍163、呼吸数16、意識昏睡状態GCS7
超音波検査で腹部に出血が大量にあった。
想定通りに緊急大量加温輸血装置レベル1を使用し輸血が始まる。
田中医師はショックに対して気管挿管をする。
野田頭所長は緊急開腹止血術を決断した。
(続く)

tPA注射後に大出血 脳梗塞急性期に、脳動脈に詰まった血栓を溶かす治療をすると、 後遺症を減らすことができる。 tPAという薬だ。 心筋梗塞や肺塞栓と同じ原理で 血管が血栓で詰まる病気なので、 tPAの注射が使われる。 この時使う、tPAの量と種類が心・肺と脳では違うことに注意が必要だ。 男性は腰痛と発熱で近医を受診した。 外来で治療していたが、 改善なく、 八戸ERを紹介受診した。 通常の病院では、内科外来紹介受診となるような発熱と腰痛だが、 八戸では、 原因不明の発熱患者にはすべてERで救急医が対応する。 それは緊急性がある場合が多いから. すでに,前医でいろいろな検査治療をした後で紹介されてくるので, 大抵は一刻を争うことが多い. 前医では、抗菌薬の注射を開始していた。 血圧、脈拍、呼吸数、意識は問題ない。 腹部と腰部に異常な圧痛と打痛あり。 皮膚に皮疹なし。 オスラー結節ない。 ジェーンウェー病変なし。 オスラー結節、ジェーンウェー病変については後述する。 ER担当医は、感染症を疑い 発熱3点セットを検査した。 胸部X線+痰細菌検査 尿検査+尿細菌検査 腹部超音波検査と血液培養を2セット採取した。 症状は進行性でなく、 重篤感はない。 患者に入院を勧めると、 帰宅を希望した。 近医で治療継続を希望した。 尿路感染による敗血症を疑っていたので、 近医へ紹介状を作った。 男性は近医に入院し治療を開始した。 (続く)

2020年02月04日 18:59

tPA注射後に大出血

脳梗塞急性期に、脳動脈に詰まった血栓を溶かす治療をすると、
後遺症を減らすことができる。
tPAという薬だ。
心筋梗塞や肺塞栓と同じ原理で
血管が血栓で詰まる病気なので、
tPAの注射が使われる。
この時使う、tPAの量と種類が心・肺と脳では違うことに注意が必要だ。
薬の副作用が予想外の部位からの出血だ.
脳梗塞の血栓が溶けたあとに,脳出血を起こすことがある.
これは命を落とす原因だ.

男性は腰痛と発熱で近医を受診した。
外来で治療していたが、
改善なく、
八戸ERを紹介受診した。
通常の病院では、内科外来紹介受診となるような発熱と腰痛だが、
八戸では、
原因不明の発熱患者にはすべてERで救急医が対応する。
それは緊急性がある場合が多いから.
すでに,前医でいろいろな検査治療をした後で紹介されてくるので,
大抵は一刻を争うことが多い.
前医では、抗菌薬の注射を開始していた。
血圧、脈拍、呼吸数、意識は問題ない。
腹部と腰部に異常な圧痛と打痛あり。
皮膚に皮疹なし。
オスラー結節ない。
ジェーンウェー病変なし。
オスラー結節、ジェーンウェー病変については後述する。

ER担当医は、感染症を疑い
発熱3点セットを検査した。
胸部X線+痰細菌検査
尿検査+尿細菌検査
腹部超音波検査と血液培養を2セット採取した。

症状は進行性でなく、
重篤感はない。
患者に入院を勧めると、
帰宅を希望した。
近医で治療継続を希望した。
尿路感染による敗血症を疑っていたので、
近医へ紹介状を作った。
男性は近医に入院し治療を開始した。
(続く)