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分娩後大出血 最終

2019年06月18日 18:34

救急車はドクターカーの後ろに停車した。
古藤医師と産科医師は救急車の左サイドドアを開けて乗り込んだ。
女性には輸血が開始されていた。
産科医師は、
出血が続いていることを目で見て確認後に、
左手を膣に入れて子宮の入り口でグウを作って尾側から圧迫開始する。
右手はパーで臍の高さで子宮を腹壁の上から尾側に向けて圧迫、
右手のパーは子宮のてっぺんをマッサージする。
双手子宮圧迫と子宮底マッサージだ。
古藤医師が言う。
「隊長、現場出発okです」
「機関員、出発」隊長が言う。
救急車は路肩を出発する。
双手子宮圧迫と子宮マッサージ操作で出血の勢いが止まった。
血圧は100となった。

八戸ERでは、
分娩後大出血に対応するため、
産科医師と救急医師が待機していた。
ERに入室した女性には、
急速加温輸血装置レベルワンで輸血が追加された。
野田頭所長はまずCT,それから血管造影室と指示を出す。

血管造影室に移動した女性に、
田中医師と野田頭所長で、止血のための動脈塞栓術を開始した。
上手く止血できた。
終了後に女性は、救命救急センターに入室した。
受け持ちは田中医師。

翌日元気になった女性は救命救急センターを退室し、
周産期センターへ入院した。

分娩後大出血 完

分娩後大出血 その2

2019年06月17日 18:26

産科クリニックから八戸の周産期センターに電話が来た。
「弛緩出血の産婦、ショック状態、転院をおねがいしたい」
八戸周産期センターは受け入れOk.

産婦は輸血準備をして、救急車でクリニックを出発した。

搬送中時間は1時間。
血圧が低下し始める。
80台。
救急隊長は、ドクターカーまたはドクターヘリ要請の必要性を感じた。
血圧低下し、ドクターカーまたはドクターヘリ要請した地点は、道のりを半分は過ぎている場所だった。
救急車は予定された国道45号線を走る。
ドクターヘリだと、ランデブーポイントの設定が必要であるが、
ドクターカーなら救急車とドクターカーの双方の連携で
途中の道路上でドッキングが可能。
隊長はドクターカーを要請した。

ダイレクトブルーPHSが鳴った。
ドクターカー当番は古藤医師。
弛緩出血と言う情報で、不安になった。
古藤医師は、周産期センターに電話した。
産科医師も一緒にドクターカーに乗って出発した。

八戸市内を抜け、
郊外へ続く国道は空いていた。
2車線道路の中央よりを、サイレンを鳴らして走るドクターカー。
無線が入った。
ドッキング場所は、
「大山の家」の交差点東側の石材店前。
ドクターカードライバーは頷く。
古藤医師は、無線機に向かい、
内容を復唱して、了解と告げた。

国道交差点で左八食センターの看板がある手前でドクターカーは減速する。
見晴らしのいい交差点なので、右折ウィンカーを出して交差点で停車したドクターカーを見つけて、対向車線の車は停車し、道を譲ってくれる。
大きくUターンして、
石材店の前の路肩に停車した。
この路肩は広いので、これまでもドッキング地点に何度も利用してきた。

国道は北に向かって丘の上につながっていた。
北の空、岡の向こうから救急車のピーポーサイレンと
赤い光が近づいてきた。
(続く)

分娩後大出血 その1

2019年06月16日 11:26

分娩後大出血は命に関わる事態だ。
ドクターカー、ドクターヘリが要請される場面を想定して、
フライトスタッフは産科救急講習会を受講する。
ALSO ,BLSO,Jcimels、PC3,
様々な講習会がある。
八戸では、全員BLSO (基本コース)を受講。
ALSO(advanceコース)と、Jcimels、PC3は任意。
私は、ALSOも受講している。
そして、ALSOの救急アドバイザーを兼務している。
また、近藤医長は、Jcimelsのインストラクター。
今野副所長は、毎年BLSOを受講している。3年連続だ。

女性は、1時間離れた街の産科クリニックで分娩した。
赤ちゃんは元気に生まれたが、
妊婦の出血が続いた。
分娩後大出血だ。
PPHX(post partum hemorrhage)と言う。
原因は4T
tone子宮筋緊張低下70%
trauma子宮頚管外傷20%
tissue 胎盤遺残10%
thrombin凝固障害1%
だ。
最大頻度は、子宮筋緊張低下・弛緩出血だ。
胎盤の娩出後に子宮の収縮が遅れて、
子宮から出血が続く。
妊婦死亡の原因で、
緊急手術が必要になることがある。
手順を踏んで子宮収縮の処置と、止血処置、救命処置を行うが、
速やかに止血できるとは限らない。
子宮収縮の処置は、子宮収縮薬のアトニンの点滴静注と子宮内筋注だ。
アトニンはドクターカーバッグに積んでいる。
子宮内投与時は長い針を使う。
長い針はカテラン針と言う。
膣に左手を入れて子宮を腹側に持ち上げて、
腹壁に近づいた子宮に注射するのがコツだ。
アトニンと同じく子宮収縮を促す薬にプロスタルモンfがある。
以前は使われたが、喘息患者への使用で心停止が発生し、
わが国での弛緩出血に対して使用が禁止された。
アトニンは1アンプル5単位で、
500ml生食に10単位溶かして、全速力で10分くらいで投与する。
アトニンに禁忌はない。
(続く)

世界放送「The Professionals」

2019年05月09日 18:27

NHKプロフェショナルで取り上げていただいた「劇的救命」が世界放送になります。

■放送波:NHK WORLD TV
 (NHKワールドTV) 番組「The Professionals」

■英語版
 ※ナレーションと出演者のインタビューなどが「吹替え」になり、TWを英語に翻訳
した番組です。

■放送日:2019/8/11(日) (日本時間)
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/tv/professionals/
→放送日が近づくと、タイトルが掲載されます。
・本放送×1 10:10 - 11:00
・再放送×3(時差対策) 全4回
 16:10 - 17:00、22:10 - 23:00、翌日04:10 - 05:00

※日本国内で、PCやアプリ(スマートフォン、タブレット)でも視聴可能です。
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/ja/world/howto/

令和時代も劇的救命を目指す

2019年05月01日 00:01

令和になりました。
新しい時代になっても
目指すは劇的救命
令和2